6月3日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】応用経済研究院(Ipea)は一日、二〇〇三年全国家庭サンプル調査(Pnad)の結果に基づいた分析データ「社会レーダー」を発表した。
それによると、国民の三一・七%に当たる五千三百九十万人が、当時の最低賃金(月二四〇レアル)の半分の所得しか得ていなかったことが明らかとなった。うち二千百九十万人の所得は最賃の四分の一しかなかった。最低賃金の半分で生活する人の割合を州別でみると、最も高かったのがアラゴアス州(六二・三%)、最も低いのがサンタ・カタリーナ州(一二・一%)だった。
また、六百六十万人の国民がファベーラ(スラム街)やそれに近い設備が十分でない住宅に居住している。上下水道やゴミ収集のサービスを受けていない人は四千百八十万人に上る。
一方、所得格差も深刻で、世界ランクでみるとブラジルはセラレオーネに次いでワースト二位。〇一年のデータによると、国民の一%を占める最も裕福な人々が、最も貧しい人のほぼ半分の所得を得ているという。
失業率は一九九五年の六・二%から〇三年には一〇%に上昇、十万人当たりの殺人被害者数は八〇年の十一・四人から〇三年には二十九・一人に増加した。十五歳以上の国民のうち文盲は千四百六十万人と一一・六%を占め、平均就学年数は六・四年と短い。
こうした状況にもかかわらず、政府の社会政策は一向に進んでいない。〇五年五月までに都市衛生対策は〇・七五%、文盲対策はわずか〇・一六%しか予算が執行されていない。