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景気の冷え込み明らかに=第1・四半期=前期比0・3%増=設備投資の減少目立つ=せめてもの慰みは農業

6月2日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は三十一日、二〇〇五年第1・四半期の国内総生産(GDP)が前期比でわずか〇・三%増と、景気の冷え込みが顕著であることを明らかにした。これは、〇三年第2・四半期以来の低調振りという。専門家らの試算によれば、〇五年の経済成長率は二・五%から三%に留まるとみられる。部門別では工業が一%増、サービスが〇・二%増、農業が二・六%増。特に設備投資の減少が目立っている。
 ブラジル経済に深刻な景気の陰りが見えた。特に中長期の景気動向を支える設備投資が大きく後退した。せめてもの慰めは、農業が辛うじて全体の落ち込みを防いでいる。〇五年度経済成長率は当初予想の四・九%がはかなく潰えた。試算では、半分の二・五%さえ、ささやかれている。
 工業製品の第1・四半期市場価格は、前期比わずか〇・三%の上昇に止まった。これはブラジル経済に黄信号が灯されたことを意味し、中央銀行の通貨政策への風当たりは避けられなくなった。五月に決めた通貨政策委員会(COPOM)の基本金利(SELIC)一九・七五%は、誤りとする意見が関係者の間では多い。
 追い打ちを駆けるように携帯電話会社の収益が、予想に反して大きく落ち込むという電信庁(ANATEL)の報告だ。〇四年の成長率二%に対し、〇五年は一・四%と修正した。
 致命的なのは景気の冷え込みが産業全般に浸透したこと。景気回復の糸口が見えないので深刻だ。大豆と米で二・六%増を維持した農業が、GDP〇・三%増を実質的に支えた。
 需要は、外国を除いて国内が総討ち死に。家庭の消費は昨年同期比〇・六%減。政府購入は〇・一%減。設備投資は三%減と軒並み後退。需要の落ち込みは電力危機のあった〇一年第3・四半期の水準という。輸出の三・五%増だけが救いと言える。
 設備投資の三%減は、景気冷え込みへの影響が大きい。〇四年のGDPに占める設備投資の割合は一九・六%だった。〇五年は二〇・七%を期待されたが、昨年を下回った。経済成長率五%を維持するには、GDP比二五%が必要。
 〇四年第3・四半期のGDPは前期比一九・四%増。第4・四半期は前期比九・三%増から見ると、〇五年の惨状はウソのようだ。これは崖崩れといえる。雇用創出の立役者、土木建設業界の昨年同期比〇・六%増には失望させられる。〇四年の業績は前年比七・九%増だった。
 ルーラ大統領はパロッシ財務相を呼んで、減速経済の体たらくを説明させた。政府内では今後、インフレ対策と通貨政策に関する議論が過熱しそうだ。大統領は経済政策の中銀への一任を変更し、COPOMへの信頼も薄らぐと思われる。経済スタッフが予測の範囲内としたことで、大統領は安易な政策を叱責した。郵便局CPIで内憂外患の大統領は、軟弱な足元で最終判断を下すのは経済スタッフではないと立腹した。
 景気の頂点は、〇四年第3・四半期だった。九月以降、中銀がインフレ抑制のためと称して金融の引き締めを行った。中銀は以後、角を矯めて牛を殺すつもりだったらしい。牛はまさに死に体状態にある。