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金で恥を捨てるブラジル人=作家リベイロ氏=汚職の習慣にドップリ=民族の誇りと利己主義の間彷徨=国づくりの概念なかったポルトガル

6月1日(水)

 【ヴェージャ誌一九〇五号】作家のジョアン・U・リベイロ氏は、ルーラ批判急先鋒の一人となった。下層階級の期待を担って登場した労働者党(PT)政権であったが、政治が泥棒の巣である点では、金持ちも貧乏人の代表のPTも同じ泥棒であることが証明されたという。ブラジル人は卑屈で節操のない民族で、目先の損得で付和雷同する。民族の誇りと利己主義の間を彷徨する精神分裂病者のような人間が、ブラジル人と同氏はみている。
 以下は同氏との一問一答。
 【PT政権の誤りは】どのプロジェクトも中途半端で、国民に確信を抱かせるものがない。政策に現実性と具体性がない。国民は分別力がなく、誰かが大統領を無能といえば他人の意見に不和雷同する。だから為政者には実力者が欲しい。
 【短所の反面、長所もあるのではないか】ルーラ大統領は労働者党という城の殿様だ。PT政権という実体は、ブラジルの歴史には前例がない。殿様は、経営管理も計数管理も采配も実戦も知らない。そのため有能で元気な家老を抱える必要がある。しかし、家老は皆風邪を引いている。
 【あなたはPTに投票したか】二〇〇二年の大統領選ではルーラに投票した。ルーラの実力には不安があったが、PTのメンバーの管理能力に期待した。今、大統領の政治姿勢に疑問を持っている。演説が大好きで格好をつけてばかりいる。ピアウイ州の最貧困市へ行き、明日から飢えないと宣言したが、現在も飢えることなく食料が配給されているかどうかは疑問だ。
 【ブラジル人の良心とは】ブラジルのマスコミは、常にスポンサーがついている。ロベルト・マリーニョ氏は、ブラジル文学アカデミーのスポンサーを務め私はその傘下にいる。同氏に逆らえば、私の文学者生命は絶たれる。誰でも本音と建前を使い分ける。金で買収される習慣に誰でもドップリ当然のように浸かっている。汚職とか虜囚の恥という観念は、ブラジルにはないからだ。
 【金で買収されるとは、言い過ぎではないか】金のためとなるとモラルなどなくなる社会に私たちは住んでいる。エリートは金で動く。ブラジルに貧しくも清く生きる人間がいたら、笑い話だ。校長は給食の素材を余らせ家へ持ち帰り、近くの八百屋へ売る。人前で格好をつけているだけだ。
 【なぜブラジルは公衆道徳に疎いか】米国へ渡ったイギリス移民は、永住者だった。まず憲法を創り国の基礎を作った。ブラジルへ渡ったポルトガル人は出稼ぎだったため性質が粗野で、ブラジルは略奪と搾取の対象でしかなかった。ポルトガルの王室には国づくりの概念など毛頭なかった。