6月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ロシア人事業家ボリス・ベレゾフスキー氏は、ブラキチの一人。「ブラジルは素晴らしい国、ブラジル人は世界最高の人種」という。同氏はお忍びで来伯した。目的は、MSI(スポーツ振興財団と仲介組織)を傘下に治めるか、業務協定を結ぶかの取引だという。
サッカークラブのコリンチアンスが今年四月、チーム強化のためMSIと接触していることを同氏は知り、先手を打った。同氏は十日、代理人をコリンチアンスに送り立地条件や投資リスクの調査を行った。
MSIのキア代表は二〇〇四年七月、コリンチアンス・チームを欧州に招き、投資家らに紹介した。コリンチアンスのドアリブ会長は投資家と会って感激した。しかし、同会長はカネを持っていそうなベレゾフスキー氏に魅力を感じた。
ドアリブ会長は同年八月、ベレゾフスキー氏とパートナー仮契約を結んだ。同氏は、これで取引の主導権を握った。同氏は二十四日、MSIのキア氏とドアリブ会長をロンドン事務所に呼んでコリンチアンスのパートナー契約を通告し、まずコリンチアンスのスタジアムを建設することになった。
同氏はロシア裁判所からチェチェンへの武器密売で有罪判決を受けた国際指名手配の身である。ロンドンでは逃亡生活中だ。数々のニセの身分証明書を持ち、怪人百面相の生活を送っている。
コリンチアンス事務局の話では、二十四日の呼び出しでは、パッサレージョ監督を相談なしに解雇したことに、ベレゾフスキー氏は大変立腹していた。また亜国から起用したテヴェス選手と監督の確執によりチームワークが下がったことへの叱責であった。
スタジアム建設はサンパウロ市の建築許可が出次第、コリンチアンスが正式に出資容認の意志表示を行い、五〇〇〇万ドルがブラジルへ送金される。プロジェクトの実施については、出資条件も担保物件もコリンチアンスの選手構成もポジションにも何ら要求事項がない。それは一任らしい。
ベルゾフスキー氏は、プーチン政権最大の政敵として英国へ亡命した。同氏はロシア航空公社アエロフロート社長時代、七億ドルを横領しスイスへ不正送金した。同氏の資産は現在、三〇億ドルとされる。
同氏とMSIとのシガラミは、モスクワの三大紙買収に始まる。買収直後、ロシア政界の大御所アブラモビッチ氏を抱き込んだ。二年後には英国のサッカーチームを買収し、サッカービジネスの味を知った。
最近の話題では、オサマ・ビンラディンを資金援助し、チェチェンの暴動を画策したらしい。同氏によれば、新聞記者はスパイの仮の姿にすぎず。新聞報道はほとんどが官製のねつ造記事で、真実を書けば消されるのが新聞記者だという。