5月31日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】外資のブラジルへの流入が昨年、前年比八六%と急激な伸びを示した。一九九〇年代後半の民営化にともない、外資は全体の六〇%を占めたが、それを優る勢いを見せておりブーム再来の兆しを見せている。
二〇〇〇年代に入り景気の失速とルーラ政権への不安感から外資流入は鳴りを潜めていたが、昨年の景気回復からまたぞろ注目を浴びた形となった。これには世界の景気低迷と低金利などが後押ししている。外国からの投資金額は、〇三年に一〇〇億ドルどまりだったが、〇四年は一八〇億ドルに急増した。これにはビール会社のAMBEVにインターブリュが投資して資本提携したのが貢献している今年は一五〇億ドルから一七〇億ドルになると見られている。
これまでの国別の流入額はアメリカがトップで三六・四%、以下順にフランス九・七%、スペイン九%、ドイツ九%、オランダ五・二%、イギリス五・二%、ポルトガル三・七%、メキシコ三%、その他一八・八%となっている。
今年に入り、外資による企業買収や資本提携の大型商談とされたのは、スペインのマプフレがノッサカイシャ銀行系列のノッサカイシャ保険を落札、五一%の株式を取得した。今月初めにはフランスのカシノがポン・デ・アスーカルの株保有率を五〇%。ポルトガルのTAPがヴァリグ航空の株式の二〇%を保有する意向を示した。またアメリカのゴールドマン・サックスがパクトアル投資銀行の買収話を進めている。コカコーラもカピシャバ・スッコ飲料と商談中、イタリアのテレコムもオポルトゥニティ銀行を手中にしてブラジル・テレコムを支配下においた。また鉄鋼部門ではルクセンブルグのアルセロルが昨年、ツバロン製鉄の株式を二八%から六一%へと買い増しした。
いっぽうで、すでに外資系企業の支配下にある企業が、新たにほかの外資系企業に身売りされるケースも増えている。アメリカ資本のMCIの傘下にあったエンブラテルがメキシコのテルメックスに四億ドルで売られ、オランダのロヤルが持っていたボンプレッソ店がアメリカのウォルマートに三億ドルで売られた。
こうした動きの中、コカコーラは世界戦略の一環として、ロシア、インド、中国に加えてブラジルを重視しており、ソーダ飲料水のスッコス・マイスなどを含む買収に動き始めている。