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観測史上2番目の豪雨=17時間に2カ月分降る=チエテ川氾濫、各所で浸水=サンパウロ市

5月28日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日、二十七日】通常の二カ月分の降雨量がわずか十七時間に集中豪雨となってサンパウロ市を襲ったため、二十四日と二十五日のサンパウロ市は大混乱に陥った。降雨量は一四〇・四ミリに達し、観測史上二番目の豪雨を記録。これまでの最高は一九八八年十二月二十一日の一五一・八ミリで、十六年ぶりの集中豪雨となった。
 二十四日夜から降り始めた雨は、勢いが衰えることなく一晩中降り続いた。このため市内百二十カ所で浸水や出水が相次ぎ、水没した車の脇で夜を明かした運転手が数多く見られた。これにより各所が通行止めとなり、深夜にもかかわらず、う回する車で市内は渋滞した。
 とくに被害が大きかったのはマージナル・チエテ大通りで午後十一ごろ、チエテ川が増水して堤防を超えて、はん濫した水が同通りに流れこんだ。このため通行中の車が水没したり、大型トラックが橋げたに衝突するなどの事故が続出した。そのため通行止めとなったことから、サンパウロ市の玄関口と言われる同通りがしゃ断され、大渋滞を招いた。
 二十五日朝になっても水がひかず、そのため午前八時半のピーク時にはサンパウロ市で一一九キロの渋滞を記録した。チエテ川では川床工事が行われており「三年間洪水なし」のサンパウロ州政府の広告の横断幕があるが、これが空しく映った。このほか、線路が水につかったためパウリスタ鉄道が停止、路線バスも立往生したため、家路につく市民は足を奪われ途方にくれていた。二十五日朝になり、小雨となったものの市内の状況は変らず、欠勤する人が相次いだ。路線バスは車庫が水浸しで発車できずメトロは徐行運転のため遅れが出た。コンゴーニャス空港では百五十機のダイヤが乱れ、サンパウロ市内のマルテ空港は閉鎖された。
 サンパウロ州食糧配給センター(CEAGESP)でも浸水で果物や野菜が被害を受けた。スイカやマンゴーは所狭しとプカプカ浮いていた。二十五日には食料を積み外で待機していたトラックが交通規制で入り切れず、外で叩き売りをしていた。
 衛生局では浸水にあった食料品はすべて廃棄処分するよう命じた。泥ネズミが媒介となるレプトスピローゼが伝染する危険性があるからだ。これにかかると死に至るという。またこの先、果物や野菜を食する時は十分消毒することを勧告している。熱湯や消毒水を入れた温水に十五分以上つけることで効果があるとしている。
 アウキミンサンパウロ州知事とセーラサンパウロ市長は二十六日、連れ立って被害状況を視察した。知事はチエテ川の改修工事の早期完了と、西部ピラジュサーラ区に排水溝を設置することを明らかにした。これはサンパウロ市政府との共同プロジェクトとなる。さらにマージナル・チエテ大通りにポンプを設置し、出水による渋滞を防止することを提案した。これに対しセーラ市長は、「水を川の水に戻すだけで解決にならね」と反論、とんだ「水掛け論」となった。セーラ市長は今回の雨はミニ津波の類いとして、天災だとの見方をしている。