ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 社会保障相に捜査の手=最高裁、要請を許可=不正融資の真相解明なるか=本人は関与を一切否定

社会保障相に捜査の手=最高裁、要請を許可=不正融資の真相解明なるか=本人は関与を一切否定

5月25日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】最高裁のセーザル・ペルーゾ判事は二十三日、フォンテレス検事総長から要請されたジュカー社会保障相に対する刑事告発の捜査を許可した。捜査目的は同相が一九九四年から九七年まで、共営者として参画していたロライマ州のフランゴノルテ社をめぐる、アマゾナス銀行からの不正融資取り付けの解明である。同相は九六年八月、七カ所の幽霊農場を銀行へ抵当物件として入れた。最高裁は事実解明のため、六十日間の捜査期間を与えた。
 ジュカー社会保障相の刑事告発に対する最高裁の担当判事は、被疑者のプライバシーを守り、関係書類の信ぴょう性確認のため極秘扱いとするよう通告した。当の社会保障相はたとえ不祥事が発覚しても、同相の責任ではないと側近に語った。
 同相は九五年三月、アマゾナス銀行から関係企業フランゴノルテ社の名義で北東部開発基金(FNO)の二五〇〇万レアルの融資を受けた。同相は融資も幽霊農場の担保も預かり知らぬことと、一切の関与と責任を否定している。
 検事総長から提出された捜査許可要請の内容は、次の通り。ロライマ州ボア・ヴィスタ市のフランゴノルテ社は、ブロイラー処理場建設のためと称してFNO公的資金を受け取った。
 社会保障相とロライマ州のジェットリオ・クルース元知事、上議に立候補し落選した労働者党(PT)党員は九五年十二月、フランゴノルテ社の負債を肩代わりし同社の譲渡を受けた。しかし、これまで債務の決済を全く行っていない。社会保障相と妻は九五年十二月、アマゾナス銀行に対しフランゴノルテ社の債務保障人を引き受けた。
 同三人は九六年八月、アマゾナス銀行に時価二六九万レアルの七農場を担保として提出した。農場は、セアラー州の事業家ルイス・F・オリヴェイラ氏名義の所有だった。
 担保として同農場をアマゾナス銀行へ提供した十五日後、社会保障相はオリヴェイラ氏をフランゴノルテ社の共営者として迎えた。同相は同年十月、持ち株をオリヴェイラ氏に譲渡しフランゴノルテ社を去った。
 アマゾナス銀行から借りた債務は現在、一八〇〇万レアルに達し、全額未決済のゆえ同銀行は担保の差し押さえに赴いた。しかし、物件は存在しないことが判明。銀行の融資担当者は担保物件について当初、受け入れを拒否した。しかし、上層部からの命令で受け入れを余儀なくされたと弁解した。
 最高裁はメイレーレス中央銀行総裁の不正疑惑に対しても、メーロ担当判事により捜査許可を認めた。社会保障相も中銀総裁も、ルーラ政権に入閣する前の前科解明が目的である。中銀総裁の場合も極秘扱いだが、関係書類は連邦警察に渡されなかった。
 社会保障相の場合は、連警が検察庁と会計検査院へ赴き、関係書類コピーを入手する。俎上に乗るのは同相の他に、ジェトゥーリオ・クルース元知事やアマゾナス銀行のアントニオ・C・ヌーネス監査官、フランゴノルテ幹部二人などが公的資金の横領疑惑で取り調べを受ける。