5月21日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】政府は二十日、投資促進のための資産暫定令を発令した。内容は五項目からなる。一、製品の八〇%を輸出する企業は、輸入する機械からPIS(社会統合基金)とCofins(社会保険融資納付金)を五年間免除される。二、サービスやソフトを輸出する企業も同様。三、技術開発に投資する企業は法人税(IR)の最高税率を八%とする。四、収益にかかる税の納税期間を延長する。五、二五〇〇レアル以下のコンピューターは四年間PISとCofinsを免除する。
ルーラ大統領とフルラン産業開発相は訪日前夜の十九日、投資意欲のある企業への減税案を提示した。大統領の帰国次第、資本財購入のための資産暫定令として発令される見通し。これで政府は現在の輸出額四億ドルが二〇〇七年には二〇億ドルへ飛躍的に増加するものとみている。
企業は新事業計画で機材購入のため融資を受けたPISとCofinsのクレジットを二十四カ月以上の長期間利用できる。会計年度剰余金に対する社会福利金(CSLL)は、納税期間が一年延長となった。〇五年末満期のものは〇六年末まで延ばされる。関係者は大統領の帰国までに細部を整理し急きょ、議会提出の運びとしている。
産業開発相は同令により〇六年には外国からの直接投資額が二〇〇億ドルに上ると見込んでいる。同令によって促進される輸出が、中銀のインフレ対策にも大きく貢献し、一石二鳥の効果があると同相は述べた。中長期間にわたって収穫する輸出の種まきのようなものだという。
政府が最も恐れているのは、ブラジルの重税を逃れて外国へ拠点を移すという企業戦略だ。ブラジル進出を計画している中国の製鉄企業バオスティールは、自己資本の一六%が税金で消えることに不満を抱いている。韓国のポスコ製鉄は重税を理由にブラジル進出をインドへ切り替えた。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)のスカッフ会長は十九日、資産暫定令は製品の八〇%以上を輸出する企業が対象になるらしいと述べた。七九%だったら、恩典はないのか。ブラジルで八〇%以上を輸出する企業は、百社ほどしかない。減税恩典は新たに計画している新事業に適用されるのか、既に進行中の事業にも適用されるのか明確でないと指摘した。
現時点で同令は受精卵といえそうだ。ドローバック輸出(原材料を輸入し製品を輸出する)が、適用範囲に明記されていないという。FIESPは競争力向上の障害となっている、輸出品に対するICMS(商品流通サービス税)の減税も検討すべきだと同会長は述べた。
小規模零細企業への朗報は、簡易納税システムが拡大されることだとパロッシ財務相は述べた。企業の総売上に対し一定率を納税する単一税で、全ての連邦税も社会福利金(INSS)も含まれるシステム。現行システムでは、単一税が年間一二〇万レアル以下の売上にだけ適用されており、そのため小規模零細企業は売上を押さえようとしている。
また企業の開業と閉業手続きが簡素化される。現行システムでは、三部門で開業許可を出すので百五十二日もかかる。それを十五日にするというのだ。閉業は十年もかかる。