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中央銀行COPOM=基本金利、19.75%に=9カ月連続の上昇=産業界「減速経済に追い打ち」=見直し問われるインフレ対策

5月20日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】中央銀行の通貨政策委員会(COPOM)は十八日、基本金利(SELIC)を九カ月連続で引き上げ一九・七五%とした。産業界は、金利の引き上げ継続と一時休止とする見方で二分した。広範囲消費者物価指数(IPCA)は四月から五月の間に、〇・七〇%から〇・八七%へ上昇した。しかし、消費者物価指数(IPCーFipe)は〇・六八%から〇・五八%へ下がった。産業界や労組は、SELICの引き上げが減速経済へ追い打ちをかけると不満の意向を示した。
 COPOMが基本金利を〇・二五%引き上げたことで産業界から、ごうごうたる非難を呼びそうだ。中銀は隠忍自重を決め込むか、薬の副作用で苦しむより静かな病人でいるほうが得策と説得するかだ。
 五月のSELIC引き上げは、COPOMのメンバー九人が満場一致で決めた。SELICが一六%だった二〇〇四年九月、潜伏するインフレ退治のため行った基本金利の長期微調整の延長としての引き上げだという。
 今回の調整で市中金利は月利で次のようになる予想だ。消費者ローンは、六・一〇%から六・一二%へ。クレジットカードは、一〇・二六%から一〇・二八%。特別小切手は、八・二七%から八・二九%へ。銀行融資CDCは、三・六二%から三・六四%へ。銀行の個人貸し付けは、五・七七%から五・七九%へ。金融業者の個人貸し付けは、一一・八七%から一一・八九%へ。企業向けの運転資金は、四・二六%から四・二八%へ。手形割引は、三・九〇%から三・九二%へ。
 実質金利の世界ランキングでも、ブラジルは一三・六%でトップ。二位がトルコの六・六%。三位がハンガリーの五・三%。四位がメキシコの四・六%。五位がイスラエルの四・二%。
 今回のSELIC〇・二五%の引き上げで公共債務は、九億レアル増額する見込みとなった。SELICが一%引き上げられる毎に、公共債務は長期的に六十五億レアル増える。
 SELIC修正付国債は、全国債八七三八億レアルのうち六〇%の五一一一億レアルもある。SELICを引き上げる毎に国債の信用度も不安定となる。COPOMにとってはインフレ抑制であっても、財務省は公共債務の管理費が重荷となっている。
 四月は、満期となった国債が集中した。国庫庁は九十三億レアルを決済したが、ほとんどは金利の支払いだった。しかも債務総額は、二億二〇〇〇万レアル増加した。〇四年十月からSELIC引き上げによる公共債務の総額は、九七三億レアルに増えた。うち六八四億レアルは金利だ。
 インフレ抑制のためというSELICの引き上げで、インフレ対策の見直しが問われている。インフレの原因となっているのは、消費者物価の二九%を占める公共料金にある。公共料金は、インフレ政策の盲点といえる。公共料金の調整基準を是正せずに闇雲にインフレを抑制し、景気を後退させていることを反省する時期が来ているといえそうだ。