5月18日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十七日】労働高等裁判所(TST)は十六日、解雇理由の正当性を証明する目的で、従業員が送受信するEメールの内容を雇用主が確認できるとした判断を下した。TSTがこの件で判断を下すのは今回が初めて。
ブラジルHSBC保険は二〇〇〇年五月、仕事場のコンピュータを使いEメールで女性のヌード写真を友人に送っていたことを理由に、ブラジリアで勤務していた従業員の男性を解雇した。同男性は同社の解雇処分が通信内容の秘密を保障した憲法に抵触するとして、同社を告訴した。
ブラジリアの労働裁判所第十三法廷は、解雇理由となったEメールの内容が、通信の秘密を侵害することで会社側が手に入れたとして、解雇理由を不当と判断、従業員に賠償金を支払うよう命じた。同社は判決を不服として連邦直轄区労働地方裁判所に控訴。地方裁判所はEメールが個人的目的で使用されるべきではないとして、会社側の訴えを認める判決を下した。これを受けて、同従業員はTSTに控訴していた。
仕事場でのEメールの利用を規定した法律や判例が十分でなく、TSTの判決では理由の一部として、米国最高裁の判決やイギリスの法律が引用された。企業秘密を他社に漏らすなど乱用の恐れがあるため、会社側は従業員のEメールを適切な範囲で管理できるとし、憲法が認めた通信の秘密は、個人的な通信にのみ保障されるとTSTの判事らは判断、地方裁判所の判決を支持した。
人事専門のコンサルタント会社によると、実際にはコンピュータウイルス対策の一環として、すでに企業は従業員のEメールを間接的にチェックしているという。〇二年にブラジルゼネラルモータースは、勤務時間中にポルノ写真を送受信していた理由で三十人の従業員を解雇、百十一人に警告を与えている。