5月17日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】サンパウロ大学経済研究所(FIPE)は十四日、ブラジルの社会保障費の国内総生産(GDP)に占める割合が世界最高であると発表した。世界銀行が世界六十一カ国で行った調査に基づくと、社会保障費の世界平均は八・七%であるのに対し、ブラジルは一二・七%。年金申請の列に並び受給に至る前に死亡する者が絶えないが、それでいて社会保障院の累積赤字は二〇〇五年に四〇〇億レアルに達する見込みだ。
世銀調査によれば、ブラジルは〇二年に全人口の五・三%に相当する六十五歳以上の高齢者一人当たりに、社会保障費を一八六五二ドルも費やした。この金額は、ブラジル人の平均一人当たり所得七七七〇ドルの二四〇%に相当する。
ブラジルが世界水準から外れているのは、それだけではない。一人当たり所得八〇〇〇ドル以下の低所得国で社会保障費の平均は一人当たり所得の五六%。ブラジルを除く六十カ国の場合、七七%だった。一人当たり所得が一〇四〇〇ドルの中流国でさえ、六十五歳以上の高齢者へ費やした社会保障は七九〇〇ドルだ。
年金生活者の多くは、自分の社会保障費にどの位かかっているかを知らない。社会保障院改革がどのように進められているかも知らない。ただ社会保障システムに不満があることだけを身にしみて感じている。
年金申請の行列は、悲哀と幻滅である。前日の夜から出掛けるが、既に代理人が腰掛けを並べている。その後に並んで夜を明かす。代理人は午前四時、いっせいに順番を〇・五レアルで売る。列が急に膨れ上がる。午前七時半、社会保障院は当日応対できるだけの整理券を配る。運が悪ければ、前日から徹夜で列に入っても整理券はもらえない。
民間企業の定年退職者の平均年金は四百四十四レアル。それが世界最高水準というのは、国家公務員の年金が元凶とされる。国会議員の年金の平均額は一一〇〇〇レアル。裁判官は一九〇〇〇レアルだ。しかも国家公務員は勤務年限が短く、定年が早い。ブラジルの定年は平均五十三歳と、世界平均の六十三歳より十年も早い。
戸籍制度が社会保障システムに連結していないブラジルは、遺族年金の管理がズサンである。それで違法年金や不正行為が絶えない。労働人口の六〇%がアングラ市場で就労し社会保障負担金を払わず、SUS医療の保護を受けているのも社会保障の問題だ。
年金の支払いにも偏りがある。年金総額の五一%は、一〇%の富裕階級の懐に入るという統計がある。社会保障システムは、数多の批判を受けながらも偏向是正の改善努力に努めている。社会保障院は年金の他、北東部地方を始めとする地方都市の北東部化現象の阻止に取り組んでいる。全国地方都市の六四%は年金支給額が地方交付金を上回り、自立の見通しがない。
社会保障院の累積赤字は、〇四年の三二七億レアルから〇五年は四〇〇億レアルに達する見込みだ。大部分は、掛け金未納の年金申請者増加と医療補助とされる。