5月14日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】連邦最高裁(STF)は十二日、フォンテレス検事総長の要請に応じ、中央銀行のメイレーレス総裁に対する脱税容疑や不正資金洗浄、違法送金、選挙違反などの捜査を認めた。最高裁は同総裁の資産明細開示を許可したが、非公開を条件付けた。最高裁のメーロ判事は、開示は総裁自身が関心を抱いているとし、国税庁や中銀に監査報告書のコピーを要求した。検事総長は書類を一覧後、犯罪の立件が可能か証拠不十分かを決定する。
十三日の金曜日のような雰囲気が十二日、大統領府を覆った。最高裁がついに、メイレーレス中銀総裁に対する一連の疑惑捜査を承認した。フォンテレス検事総長は同日、ロメロ・ジュカー社会保障相に対しても最高裁へ捜査許可を申請。他にルーラ大統領が、上下両院職員の一五%ベアを拒否する気配をみせているため、議会がいきり立っている。
行政府と立法府の摩擦は、政府与党と連立与党の間にも反響を呼んだ。連立与党は労働者党(PT)抜きの議会対策会議を召集。PTが求心力と指導力に欠けると、連立与党は評価した。災いは複数でやって来る。干ばつによる被害は、過去二十年来の大凶作という報告が入った。
凶報は、まだある。上院がインフラエロ公団の多角経営への移行手続きに不審な点があるとして、ジルセウ官房長官の証人喚問を決めた。野党は同証人喚問の際に、元側近ジニス氏の疑惑についても解明するとしている。
一方最高裁のメーロ判事は、中銀総裁が犯罪に関与した状況証拠があるとして検事総長の開示要請に応じることを認めた。しかし、書類は公開されない。検察庁と総裁自身だけに閲覧が許される。同判事は金融市場の安定を優先し、臭いものにフタをするのは許されないという。総裁が潔白であるなら、事実を白日の下にさらすべきだと述べた。
金融市場は予想通りの最高裁措置だとして、何ら反響を示さなかった。これからも同事件が株価に悲観材料を即時に提供することはないとみている。しかし、外国投資家はインフレ対策に苦戦する中銀に対し、政治圧力が高まることを懸念している。また検察に通う中銀総裁の疲労困ぱいは、免れえないと投資家が憂慮している。
ロンドン市場も予想の範囲内として最高裁の措置には反応しなかった。しかし、政治的雑音が増幅することで、金融市場が不確定局面に入るという見方だ。支持率上昇で一杯気分の政府には、酔い醒めの水になりそうだ。これからは鎧を着て仕事をしなければならないと総裁が側近に漏らした。
カヴァウカンチ下院議長は、最高裁による審理の是非決定が出るまで、中銀総裁は一時離任するべきだと述べた。社会保障相にも同様に一時離任を求めた。検察庁に捜査を認めたことは、最高裁が犯罪の実態確認を行うことを意味する。下院議長の談話に対し総裁は、談話は自由であり民主主義の一部分であると馬耳東風の呈である。中銀総裁は閣僚で財務相の部下という最高裁の判断も、資産明細の開示が非公開になったことも不発弾となったようだ。