5月14日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】サンパウロ市議会は十二日、サンパウロ市内のショッピングセンター、スーパー、銀行の駐車場を条件付きで無料とする決議を行った。市長の承認のもと市条例として施行されるが、セーラ市長は事前に何も聞かされておらず、議事録を見なければ何とも云えぬとした上で、合法かどうか検討すると語るにとどまった。
市議会の決議は四つの要旨から成っている。第一は、一時間以内の駐車はすべて無料とする。第二は一時間を超えた場合、定められた駐車料の十倍もしくはそれ以上の買物伝票を提示したら無料となる。第三は駐車時間の上限(無料の対象)で、ショッピングとスーパーは六時間、銀行で三時間とする。第四はこの三点の条件を満たさない場合は通常の駐車料を適用する。
この決議で賛否両論が湧き上がっている。利用客はもちろん両手を挙げて賛成だ。ある男性は、「男はほとんど一時間以上も費やさない。またプレゼントでもらった品物を交換するだけで駐車料を払うのは不当だ。プレゼントしてくれた人はすでに払ったからだ」と語る。また女性は、「まとめ買いをする人が多いので、駐車料の十倍どころか数十倍の買い物をする」としている。
同条例立案者のタット市議は、消費者擁護につながるし、駐車無料だと客が増えて売り上げが増えるので両者にメリットがあると説明している。また商店で義務づけられている買物伝票(チケット)を発行しない店があるが、今回の措置により客が要求するようになり、義務が守られる。これに対し売り上げ税がかけられるので、市の税収も増えると本音を暴露した。
反対の立場を表明しているのが、ショッピングセンター内に出店する商店主らで、「ショッピング経営者が、駐車料の減収を各商店に割り当ててくるのは明らかで、そうなると価格の値上げとなり、結局ツケを払うのは消費者だ」と指摘する。さらにショッピングやスーパーに駐車しておいて他所で所用を済ます人も増え、利用客のスペースがなくなる心配もあるとしている。いっぽうでサンパウロ州ショッピング協会は、決議は抜き打ちに行われたとした上で、事前に協議する場があっても良かったと市議側の一方的態度を批判している。
弁護士の中には今回の決議は、個人や企業の権利と自由競争を侵害するもので違法性が強いとの見方をしている。それならば路上駐車のゾナ・アズル(有料駐車)を廃止して、自由に駐車させるべきだと主張している。
ショッピングセンターなどの無料駐車は今に始まったものではなく、リオでは一九九二年から、サンパウロ市で九五年から再三、法令化の動きがあった。九七年には連邦最高裁がショッピングセンター、スーパー、銀行への法による駐車規制は違法との判決を下している。