5月13日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】ブラジル地理統計院(IBGE)によると、四月の広範囲消費者物価指数(IPCA)が〇・八七%となったことで、今年四カ月のインフレ率は二・六%となった。四月までの過去十二カ月累計では八・〇七%に及んだ。
これにより四月までのインフレは、政府の公式目標五・一%の半分をすでに超えた。しかし一方で、総合物価指数(IGP―DI)が予想より下回り、とくに卸売物価指数での農産物価格がデフレを見せたことと、サンパウロ市での消費者物価指数(IPC)が前月を下回った事実を加味すると一概に悲観できない。
金融筋では四月のインフレ上昇で、またぞろ基本金利の引き上げを懸念する声が挙がっているが、ルーラ大統領をはじめ、金利一筋のインフレ抑制を批判する動きが出てきており、来週の通貨政策委員会(COPOM)の決定が注目されている。
四月のIPCAは前月の〇・六一%を大きく上回り、昨年七月の〇・九一%に次いだ。インフレ上昇の原因は公共料金と食料品で二分されている。公共料金は市内路線バス、医薬品、電気料金の値上げで、これらだけで、半数の〇・四四%を占めている。食料品は天候不順による農産物の不作が原因となった。
これを受け金融アナリストらは、今年のインフレ率を従来の五・四%から六%へと上方修正した。中銀は六・三%、ウニバンコ銀行は六・四%とした。産業界ではこれにより、さらに基本金利が〇・二五%引き上げられるのではと懸念している。
先月のCOPON議事録ではその可能性が示唆されている。しかし、ルーラ大統領がインフレ抑制に金利一本槍で対処することに反対を表明したことでパロッシ財務省は方向転換をしたと伝えられている。これらのからみ合いの下、COPOMの決議が注目される。
いっぽうで、サンパウロ大学経済研究所の発表によると、サンパウロ市内での消費者物価指数は五月第一週で〇・六八%を記録し、四月の〇・八三%を下回った。保健部門が先月の一・七九%から一・八六%の上昇となったが、食糧部門が一・五五%から一・四八%と下落した。これにより、五月のインフレは四・五%と予測され、このまま推移すれば年内は五%から五・五%にまで抑えることができるとみている。
さらに予想に反して総合物価指数が大きく低下したこと、とくに農産物の卸売価格の低下が今後も続くと見られていることから、インフレにも好影響を及ぼすと期待する向きも多い。