5月13日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】国際労働機関(ILO)は六日、奴隷労働に対するブラジル政府の対策が成果を収めているとした報告書を発表した。その理由として、労働省の監督官の活動や、労働を強制する企業や個人に対する罰則を強化した奴隷労働撲滅計画の策定が挙げられている。
奴隷労働から解放された人の数は二〇〇二年に二千三百六人、〇三年には四千九百三十二人に達した。〇四年は二千八百八十七人だった。
しかしこうした対策にもかかわらず、問題の完全解決は程遠い。奴隷労働から解放された人が増えても、ブラジルでは現在、二万五千人から四万人が奴隷労働の犠牲になっていると農地牧師委員会(CPT)は推測する。労働省は奴隷労働をさせた企業のブラックリストを作成、それによると奴隷労働はパラー、マット・グロッソ、トカンチンス、マラニョン州に多いという。
リオ・グランデ・ド・スル州の市警は先週、にんにくなどの収穫目的に農場で十八歳未満の少年七人を含む三十五人を奴隷状態で働かせた疑いで現場監督を逮捕した。容疑者はライフルを片手に、能率が悪くまたは疲れて休んだ労働者を殴り、一日十四時間以上週末の休みなしで働かせていたという。またパラー州で六日には無給、寮と食事なしの条件で強制労働させられていた二百十四人を労働省の監督官が発見している。
ILOは全世界で千二百三十万人が奴隷労働の犠牲になっており、うち七七%がアジア太平洋地域に集中しているとみている。違法労働により三一六億ドルの利益が上げられているという。