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宝の山は欧米アジア市場=メルコスルは世界貿易の1%

5月11日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四月十五日】世界貿易機関(WTO)は十四日、二〇〇四年度貿易白書を発表し、宝の山がどこにあるかを示した。衝撃的だったのが、世界四大市場の格差だ。EUの四一・一%に続いて、アジアの二四%、米州の二一・八%。
 メルコスルが世界貿易に占める割合は、なんとわずか一%。これらの数字は笑い事ではない。ブラジルが目を向けるべきところを教えている。〇四年の世界貿易は九兆二千億ドル。その六八・七%を日中欧米が牛耳っている。
 〇五年の貿易は、昨年比六・五%増の九兆八千億ドルと見積もられている。好調なブラジルの輸出が、このケーキの一%しかご馳走になれないのは情けない。砂金堀は、砂金が大量に掘り出される所へ行くべきだ。
 サンパウロ州工業連盟(FIESP)は、ブラジルの外交政策を酷評した。金の山に集中攻撃をかける世界の常識から外れて、ブラジルは南米とアフリカのリーダーを夢見ている。金の出ないところで、金堀りをするつもりなのだろうか。
 経済成長と雇用創出を本気で考えるなら、もっと実現性の高い所へ挑戦するべきだ。ブラジルの目前にある宝の山は、FTAA(米州自由貿易圏)とEU市場。メルコスルは最終目標ではなく、渡り船なのだ。その辺を外務省は、よく認識していない。
 メルコスルとEUの交渉が〇四年に座礁した原因は、EUの乗用車五万台の輸入をブラジルは容認したが、アルゼンチンが反対したためだった。イタマラチー(外務省)はこの時、アルゼンチンのわがままを葬るべきだったが、ホイホイと耳を貸した。
 アルゼンチンは国際競争力に自信がないので、それが育つまで待ってくれというのだ。しかし、アルゼンチンには国際競争に挑戦する意志がない。近代化への投資意欲が全然ない。厄病神に付き合ったら、ブラジルは道づれにされる。
 世界四大市場の格差も大きいが、メルコスル加盟四か国の格差も大きい。メルコスル競馬場で走る老いぼれ馬がアルゼンチンだ。老いぼれ馬はレースの邪魔だから除けという意見がブラジルにある。自動車の件は一時保留し、大筋でメルコスルEU協定を締結せよと財界が訴えている。