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人間冬眠で難病を治療=将来の宇宙旅行にも備える

5月11日(水)

 【ヴェージャ誌一九〇二号】国立パウリスタ医科大学は、モルモットを活動停止、冬眠させる実験を行った。動物細胞の新陳代謝を最小限に抑え、動物が呼吸のために必要とする酸素の量も最低限に抑えた。動物が停止状態で過ごす環境の温度も下げ、脈拍も減らした。動物はほとんど昏睡状態にした。
 この実験から色々な成果が、得られた。ガンに侵された細胞の周囲にある健康な細胞をガンから守ることも可能となった。心筋梗塞や脳内出血、肺気腫で損傷した細胞の悪化を防ぎ、糖尿病や臓器の傷口癒着を促すことができる。
 ワシントン大学医学部でも、同様の動物実験が行われていた。目的は少し異なり、数年という長期間にわたる宇宙旅行用の人間冬眠実験の前編だった。人間の生息が可能とされる数々の惑星が発見された。
 しかし、多勢の人間を運ぶには食糧や酸素、飲料水などで限度があるため、宇宙船の飛行士だけが寝起きし、他の人員は水も食糧も不要でストレスもない冬眠という方法が必要となる。
 ワシントン大学では、モルモットにモルモット自体が産出した硫化ガスを含んだ酸素を吸引させ、体温を下げながら新陳代謝も下げた。動物の体温は太陽の熱量に応じて自動調節するようにした。
 米国の実験では、モルモットの呼吸が短時間に十分の一に減ったと報告がある。体温は三十七度から十一度に下がった。実験後は何もなかったように、元の状態に戻ったという。
 人間冬眠が実用化された例もある。交通事故で瀕死の状態にある重傷者を冬眠状態で治療し、蘇生した人は多数いる。法律では許されていないが、狂暴性のある危険な服役者を冬眠カプセルで隔離する計画もある。

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