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内山図書館が落成=こころざし学んで

5月10日(火)

 サンパウロ新聞の編集主幹だった故内山勝男さんの蔵書を集めた内山勝男記念図書館の開館式典が七日午後、松柏・大志万学院(ビラ・マリアーナ街、フェルディナンド・ガリアーニ通り)で行われた。
式典には、内山しずえ夫人を始め、松柏学園に内山さんの図書を置くきっかけになり自身も書物を寄贈した渋谷信行さん、日本の杉本麗名副領事、同じく図書を寄贈した日本国交流基金の阿部尚久さん、サンパウロ人文科学研究所元所長宮尾進さん、文協の吉岡黎明副会長、アリアンサの篠又幸一郎副会長、サンパウロ新聞の鈴木雅夫編集局長らが出席した。
 同学院校長川村真由実さんが司会を務め、生徒も進行を助ける温かい式典となった。松柏学園の川村真倫子園長が挨拶をし、「今日集まった方々を見て、内山さんはまだ亡くなっていないんだと感じました、見れば生きている本が収められています」と開館までこぎつけた感動を述べた。
 渋谷さんは挨拶で「内山先輩の名を残したかった」と図書館設立の理由を話し、自身の寄贈書について、「内山図書は子供たちには難しい部分もあるので読書に興味を持ってもらうために画集や司馬遼太郎作品を贈ることにしました」と述べた。「内山図書館の読者から将来の内山記者や川村園長のような教育者が輩出することを願います」と抱負を語った。
 しずえ夫人らの手によってテープカットがされると、出席者は図書館に入り、内山さんによってたくさんメモがはさまれたままの本たちを手に取り、故人の思い出話に花を咲かせた。
 図書館の入り口に掲げられた「内山勝男記念図書館」の文字は書道家の倉地南峯さんによるもの。館内は大きな窓により明るく、景色もよい。川村真由実校長は「ここへ来て外を眺めるだけでもほっとできる場所です」と、図書館をアピールした。
 図書館には、もう手に入らないようなブラジル研究のための本や、キリスト教関係、語学書、小説、歴史の雑誌、とさまざまな分野の本が並んでいる。どれも黒ずんでいるがぴかぴかしている。これから生きていく図書館として、子供たちが成長する学校内に設置されたことは意義があるだろう。「生徒たちには内山さんの本であることを押し付けて教えたりはしないが、自然と内山さんの志を学んでいってほしい」と川村真倫子園長は語った。
 問い合わせ先電話11・5904・2456(同校)。