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住宅集団強盗対策に本腰=サンパウロ州警察=週1件の割合で被害=早期解決、犯人逮捕優先のお達し=家政婦と内通など用意周到

5月6日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】高級マンションや住宅の集団押込強盗が急増しているのを受けてサンパウロ州組織犯罪捜査課は、市内各警察署に対し、事件の早期解決と犯人グループ逮捕を優先とする至上命令を通達した。今年に入り、マンションは十五件、住宅は二十件の被害となり、一週間に一件以上頻発していることになる。このほか事務所や倉庫荒らしも増えており、強盗が集団化してきたことを浮き彫りにしている、とくに住宅強盗は元運転手が犯罪グループと内通したり、また家政婦や使用人を送り込んでスキを見て犯行に及ぶという用意周到なグループも出てきている。
 サンパウロ州保安局長官によると、高級マンションの押込強盗は今年に入り三月までに十五件発生しており、一週間に一件の割合となる。すべてが十人以上の犯行グループの仕業で、最も多いのは十五人を数えた。
 手口はほとんどが同様で、まず一人が塀を乗り越えるなどして内部に侵入、守衛を拉致して正門を開けさせる。と同時に待機していた一味が乱入し、ガレージとエレベーターホールに配備して次々と住民を人質とする。
 人質を一カ所に集結させた後、二、三人のグループに分かれて住民を伴い、部屋を開けさせて金品を強奪する。余分な物には目をくれず、現金や貴金属類、携帯電話を集中的に要求する。その後、人質を一部屋に押し込めて住民の車で逃走する。
 昨年は三十件以上の被害があり、これまでの被害最高額は百万レアル相当となっている。これらは一件も解決されておらず、ために今回の捜査課のお達しとなったもの。
 いっぽうで住宅への押込強盗は今年三カ月間で二十件が発生している。ほとんどがブルックリン、モルンビー、ピニェイロス、ブタンタンの南部、西部地区に集中している。すべての犯罪に共通しているのは番犬を毒殺することだ。
 ピニェイロス区の三人兄弟の住居では、番犬三頭に毒物を与えて二頭を殺害した犯人グループが庭に隠れ、家人が扉を開けた所を侵入した。また、南部グロエンランジア通りの住宅も同様の被害にあった。警察では住人の証言で犯人グループを割り出し追及中。このグループは同家の元運転手で二〇〇三年以降刑務所に服役している男と通じており、男から同家の情報を得ていた。
 いっぽうでジャルジン区の住宅では犯人グループの一人の未成年者が現場に落としていった身分証明書から足がつき、四人が逮捕された。このうち女性は主犯に命じられて家政婦として働き、内部事情や住人の動向を伝えていた。警察は主犯を割り出して行方を追っているが、その用意周到ぶりから複数の強盗の同一犯ではないかとみている。
 さらにここ十日間では、事務所や倉庫荒らしが頻発している。最も新しい被害はセルタネージョ歌手ブルーノ・マロネの事務所だった。またサコマン区にあるレアル銀行の倉庫では十人組が押し入り、コンピューター二千五百台、モニタービデオ五百台、印刷機三百台、ビデオカセット六台、テレビ四台を乗りつけた三台のトラックに積んで逃走した。
 逃走前には持ち込んだサンドイッチを食堂で食べ、ジュースを飲んでいく大胆さだった。警備員の弁当も食べ尽くした。ただしジュースを買ったと見られる付近のスーパーのチケットが残っていることから警察は防犯カメラを照合している。この事件も内部に通じた者がいると警察はみている。