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50歳以上のエイズ患者急増=長寿と交際の場拡大を背景に

5月6日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】五十歳以上のエイズ患者が急増している。一九九三年から二〇〇三年までの十年間で、男性一三〇%、女性三九六%の増加となっている。保健省の発表によると、〇三年に男性患者は二千二百四十五人、女性患者は千二百六十一人となっている。九三年はそれぞれ九百七十五人、二百五十四人だった。
 さらに六十歳以上になると、人口十万人当たり男性が八・五人、女性が三・九人感染している。これらは病状が確認された数字で、この種の血液検査を受ける人が少ないことから、潜在患者はさらに多いとみられている。見た目には少ない数字だが、全国のエイズ患者総数の二・五%に相当する。
 関係者は急増の原因を食事などの日常生活の改善、医療機関の発達、医薬品の改良などによる長寿と指摘している。この傾向は今後も続くとみられることから、感染はますます広がると危惧している。
 長寿にともない、高齢者のレクリエーションの場が広がり、ダンスや小旅行が流行している。こうした機会で恋愛が生まれ、セックスへと発展する。エイズ予防機関が調査した所、五十歳以上の三九%がセックスの現役だと答えている。しかし、コンドーム利用の経験がないことと、エイズは他人事との観念からコンドーム使用者は皆無だった。
 保健省はこれを受けて、NGO団体の協力のもと、高齢者向けのエイズ予防キャンペーンを実施することを決めた。ラジオやテレビでの呼びかけに加え、集会場などにポスターを配布する。また定期的に予防セミナーを開く予定も打ち出している。また高齢者らのかかりつけの医師にも責任があるとして、指導していく姿勢をみせている。医師らは検診の際、まさかの先入観からエイズ検査をしていないのも感染拡大の原因だとしている。
 六十歳の女性は五年前に夫を亡くし、恋人と付き合っているうちエイズに感染した。また五十九歳の女性は夫がエイズで死亡した。この二人は数年経ってからエイズと診断された。
 二人は口をそろえて、当時女性は処女で結婚して一夫に仕えるのが習わしなのに、男性が浮気してきて、エイズを感染させるのは非道な仕打ちだと、憤慨している。この二人はNGOに加入して自分の体験を発表し、高齢者向けのエイズ防止に役立てたいと女性パワーを発揮している。