5月5日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】米ドルの為替レートが三日、二・四九三レアルとなり、過去三年間で最高のドル安、レアル高となった。近年では二〇〇二年五月二十一日の二・四八レアルに次いだ。これにより今年に入り六・〇七%、過去十二カ月間では一六・三四%のレアル切り上げとなった。関係者は中銀の介入がない限り、さらにドル安傾向は続くと不安を隠せないでいる。
ドル安が続いて最も懸念されるのが輸出の減少だ。今の所、輸出実績は好調に推移しているものの、すでに赤字での出血販売で音をあげている企業もあり、今年下半期には大きな影響が出ると見られている。企業家の中にはリセッション到来を危惧する向きも多い。
金融アナリストによると、ドル安の要因は三つあり、一つは輸出が伸び貿易黒字が増加していること。二つ目は中銀が為替介入を行っていないこと。三つ目はブラジルの高金利に引き寄せられた外国投資家による資金(ドル)流入だという。
輸出については、四月度は昨年同月比三九%の増加を見たことで、月間二十億ドルから三十億ドルの貿易黒字となっているのがドル安の最大の要因だという。これに対し金利支払いや企業の利益送金が月平均十五億ドルと予想より下回っている。
中銀の為替介入については、これまで中銀は外貨準備金を貯える名目で、しばしばドル買いに走っていたが現在は中止している。先にルーラ大統領が介入はあり得ないと明言したこともあり、中銀は静観の姿勢を崩さないとみられている。
外国投資家にとってブラジルの高金利は魅力であり、月二億五千万ドルのドル資金が流入している。このドルが売られレアルで投資に回る。これもドル安の要因となっている。米連邦準備理事会(FRB)がFFレートを〇・五%引き上げて年率三%にしたが、世界一高いブラジルの基本金利(SELIC)一九・五%には程遠い。
いっぽうサンパウロ市内の企業家が構成する産業開発研究所は、このまま推移するとリセッションに陥ると警告している。早急に中銀が為替介入をすることのほか、政府支出の削減および基本金利の引き下げを促している。
四月度の貿易黒字は史上最高となったが、ことし下半期にはドル安でかげりが出るとみられている。現にフォルクスワーゲンでは輸出価格は二・八五レアルのレートで計算されており、二・六七レアルで採算ぎりぎり、それ以下では赤字となるため、今後のドルレートを見極めて輸出計画を見直すとの態度を示している。