5月4日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四月三十一日】人間は歪んだ線を描くが、神様がまっすぐにしてくれる。「全てのこと、合い働き益となる」ブラジルでは政府も政治家も、やること為すことイスカのくちばしのように結果が食い違ったが、なんとかかんとか格好がつくということらしい。
ジウベルト・M・カジャウスキー教授が著書「ブラジルの顔」を上梓し、次のように著した。ブラジルの政治史を振り返ると、植民地時代から帝政時代、共和制時代を通じていつも歪んだ線を引いてきたが、独立国家として今日も数々の問題をはらみながら存在を続け、歪みながらでも発展しているという。
五十年前の長閑な政治が行なわれた時代は、近代国家なんて天竺のことかと思われた。サルネイ大統領が出現したが、閨閥政治や縁故主義など過去の悪い習慣は憲法と議会を蝕み、何か分からないうちに任期が終わった。
政府は政権確保のため違法と知りながらクルザードプランを考案し、牧場の牛泥棒をやった。試行錯誤をするうちに、民政二十周年を迎えた。ブラジルの民主主義は歪んだが、萎びてはいないと大統領は詭弁を使った。
コロル大統領最大の誤りは、行政府や立法府の了承を得ないで、自分の考えだけに基づき政治を行なったことにある。一つだけ誉めるなら、同大統領は市場開放を実施し先進国へブラジルを紹介した。それだけは後世からも評価される。
イタマル大統領は、恐ろしいほど素っ頓狂であったが、インフレという怪獣を退治した。ナポレオンを倒したロシア軍の将軍のようだ。将軍は何もしなかったが、ナポレオンが敗走してくれたのだ。
現実のブラジルは、歴史で学ぶブラジルより奇なり。高金利と重税、てこでも動かない官僚、生理的持病を持つ議会、超時代遅れの法律を後生大事にする司法府。それはブラジルの本当の姿ではない。夢のまた夢なのだと同書は語る。