ホーム | 日系社会ニュース | 島崎、南、藤原3氏に栄誉=第44回山本喜誉司賞=ロドリゲス元農相も貢献称える=来年は賞創設50周年に
乾杯で笑顔を見せる藤原、南、島崎各夫妻
乾杯で笑顔を見せる藤原、南、島崎各夫妻

島崎、南、藤原3氏に栄誉=第44回山本喜誉司賞=ロドリゲス元農相も貢献称える=来年は賞創設50周年に

 文協・山本喜誉司賞選考委員会(山添源二委員長)による農業功労賞『第44回山本喜誉司賞』授賞式が7日夜、サンパウロ市の文協ビル貴賓室で行なわれた。島崎清(72、二世)、南忠孝(71、和歌山)、藤原シジネイ日出男(46、三世)の三氏が栄誉に浴し、家族、友人ら150人以上の関係者からの祝福に笑顔を見せた。

 ロベルト・ロドリゲス元農務大臣は挨拶で「農業における日系移民の貢献は素晴らしい。表彰文化は日本の良き伝統では。旧友と会う機会にもなる」と受賞者の貢献を称えた。福嶌教輝在聖総領事も参列し、モニカ・ベルガマスキサンパウロ州農務局長も「招待され誇りに思う」と感謝を示した。
 山添委員長は「幅広く貢献した皆さんを迎えることができ光栄。来年は日伯外交樹立120年、文協創立60周年だが、山本喜誉司賞も創設50周年を迎え、重要な一年となる」と予告した。
 最初に登壇した島崎さんはサンパウロ州ミランドポリス市の第3アリアンサに生まれ、60年代から養鶏業を開始した。いち早く鶏糞で土壌改良を行い、様々な果樹生産にも励んだ。特にスターフルーツ栽培では、甘みの強い品種C1を開発し、剪定技術の向上にも貢献している。
 「アリアンサに生まれ70年余り。他にも立派な人がいるのでは。受賞は夢のようです」と満面の笑みであいさつし、「家族、友人、野球仲間も駆けつけてくれた。支えてくれた妻にも感謝です」と喜んだ。妻の妙子さん(71、二世)は「苦しいときも楽しいときもいつでも一緒だった。一生懸命2人で農業やってきて良かった」と笑顔を見せた。
 サンパウロ州モジ市在住の南さんは70年に木製のニンジン自動洗浄機を開発し、2年後には自社工場を設立した。今では住宅資材など農業の枠を超えた製品を生産している。「私には勿体ない賞」と謙遜し、「10代まではただ農業に励んだ。体力と忍耐はついたがまともな教育を受けられず、ハンデを背負っていると感じていた」と明かした。
 「これではダメだと思い21歳から学ぶ人生に踏み出したが、『なせばなる』『思いは叶う』そんな思いに支えられ生きてきた」と盛和塾の教えに感謝しながら、苦闘の人生を振り返った。散布機など様々な農機具を開発したが、実は「どんな製品が好まれるかと悩みぬいて生まれた商品ばかり」と成功の難しさを語った。
 アガタ種馬鈴薯のパイオニアで、技術革新や普及活動などが評価された藤原さんは、「幼少期から開拓に苦しんだ2人とは違う経歴」と自己紹介し、「父や兄が大学に行けるよう工面してくれた。3年前に父、今年2月には母が他界したことで心に穴があいていたような気持ちだったが、これで少し埋まったかな」との心情を吐露した。(受賞者略歴・功績は10月1日付詳報)。