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移民の言語守りたい=USP日文研期待=大統領訪日、日本語ブームの追い風になれば=バイリンバル校の建設=日系人は意識弱い

4月30日(土)

 移民の言語を守りたい──。サンパウロ大学の日本文化研究所(織田順子所長)は、ルーラ大統領の訪日が日本語ブームの追い風になってほしいと、期待をかけている。
 同研究所は昨年、神奈川大学と提携した。今年に入って、短期留学の大学院生を同大日本常民文化研究所に送り出したばかり。学生の交流などを活発化させていきたいところ。
 サンパウロ大学は学部を含めて、早大、京都外大、創価大などに交換留学などを行っている。日本との生活費の格差から、毎年、多くの応募者が集まらないという。「留学生向けの寮などが充実してくれれば、いいんですけど…」(織田所長)。
 昨年の小泉首相の来伯後、ブラジルのメディアで「日本語教育」が取り上げられた。国際交流基金の日本語能力試験の受験者数も伸び、一過性のブームで終らせたくないという願いを込める。
 同研究所の松原礼子さんは「現政権は、先住民の保護には力を入れようとしているけど、移民社会には案外目を向けていないと思う」と切ない。「ルーラ大統領の訪日で、デカセギ子弟のポルトガル語教育に関するプロジェトクトが動き出しそう。でも、日本語までカバーできるのか」
 サンタカタリーナ連邦大学では、ドイツ系が移民の言葉を守ろうと、運動を展開。バイリンガル校の建設を進めているという。「日系人には、そういう意識が弱いかもしれない」と松原さん。
 同研究所には教員が五、六人しかおらず、ドイツ系のようなモヴィメントを起こすのは、難しい。さらに、昼と夜の二部制で授業を行っている上、公開講座や自身の研究活動も重なる。
 ブラジリア、リオなど各大学に、「言語習得」、「研究者養成」などそれぞれに売りがある。その特色をどう結びつけるのか。「北から南まで日本語関係者が糾合。日本語教育を盛り上げていけるような運動が出来たら」と話している。