4月29日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日】ブラジル地理統計院は二十七日、全国六大都市で最低賃金以下の所得で生活する世帯が、二〇〇二年三月の一一・一%から〇五年三月は一六・七%へ増加したと発表した。都市別で見るとサルバドール市が三五・四%、レシフェ市が三五・一%、最も工業化が進んだサンパウロ市でも一一・五%。性別では女性は二三・三%、男性は一一・七%。〇二年は為替危機や政権交替期、慢性的高金利、雇用のアングラ化など暗黒時代であったにもかかわらず、現在はさらに悪化した。
大都市の労働市場で過去四年間、最低賃金以下の労働者が増えている。〇二年に一一・一%だったのが、〇三年は一四・四%、〇四年一六・二%、〇五年は一六・七%へ増加している。最低賃金の二倍以下も同期、二六・四%から三四%へ増えた。
低学歴層は年々、所得が低下していることを統計が物語っている。反面、十年以下の就学者の所得は七カ月連続で向上している。一年以下の就学者所得は月間、平均三六二レアル。十一年以上の就学者は月間平均一三八二レアル。〇五年三月現在、勤労者の五〇・二%が高校卒。〇二年の四四・五%より向上した。
〇三年以降の所得低下は、雇用のアングラ化拡大が原因とみられる。この時期に最低賃金以下の労働者が、急増している。アングラ化の導火線となったのは大統領選挙。政権交代が高金利と景気の低迷をもたらした。景気の低迷で女性や未成年をアングラ労働市場へ追いやり、所得の低下につながった。
雇用のアングラ化の陰には、数多の失業者がひしめいている。失業者は非正規雇用であろうと最低賃金以下であろうと、背に腹は代えられない。ここに示される数字は、飢餓線上の深刻な事情を表している。
低所得者層の収入減少は、彼らが定期昇給や労働の喜びとは無縁な環境に置かれ、インフレによる目減りとともに人間性も無視されていることを意味する。高学歴層には理解も想像もできない。貧者の一灯も取り上げられるドン底の生き地獄がそこにはある。
経営環境の悪化により、企業の外部発注や下請けが増えた。企業の苦肉の策として、従業員が労使関係から下請け関係に移る現象も増えた。失業するよりはマシということらしい。使用人から下請けに回ったことで、分割払いとなり収入が減少した場合も多い。
全国的に低所得層の所得減少が続く中、辛うじて現状維持を保っているのはサンパウロ市だけのようだ。サンパウロ市の勤労者所得は〇五年三月、昨年同月比で一・七%増とやや右上がりの横ばい。雇用は〇五年三月、昨年同月比で三・九%増、前月比で〇・七%増だった。
政府は最低賃金調整のために、昨年の最賃に四十レアル上乗せするとして三十三億レアルの予算を計上した。社会保障院には、五十二億レアルの負担増となる。五月一日から一五・四%調整、実質調整で八・八%の三百レアルとなる見込みだ。ルーラ大統領の最低賃金倍増公約には、まだ遠い。