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文協会長選=法廷闘争へ=地方からも危惧の声=「どうなってるの?」

4月29日(金)

 裁判沙汰にまでなった今回の文協会長選挙を不安視する声が、地方からも挙がっている。「このままではどっちが勝っても百周年はうまくいかないのでは」「裁判はよくない」「文協は移民の柱。しっかりして」など批判、応援、様々な意見が聞こえてきた。いずれも今回の成り行きを注目しており、関心の高さを感じさせる。
 「大変なことになったねえ。サンパウロが一致団結しないと、百周年出来ないじゃない」。
 西部アマゾン日伯協会の村山惟元会長の元にも、文協会長選挙の三候補から、委任状などの依頼も来た。
 「誰か一人に協力するのは、地方の人間として無理。もし、それ以外の候補が当選したらどうなるか」。一次投票のときは、会の長としても中立を守ったという。 
 「やっぱりサンパウロの文協はね、ブラジルに移住した日本人の柱になってほしい。(今の状況を)地方から見たら、分裂するんじゃないかと心配しています。お互い足を引っ張っているようじゃ、今後も尾を引くんじゃないかなあ」。危惧の声を上げた。
 百周年に対しては、「出来るだけのことはしたい。けれど、まとまってこそ。それが希望。今の喧嘩しているような状況じゃ、協力もできないよね」「南伯と北伯の人間の考え方っていうのは、必ずしもマッチしないんだよねえ」。
 やはり、物理的な問題が大きいと村山会長。
 「例えばね、日伯総合センター案なんかあるよね。あれなんかには参加しないね。何故って価値がないもん、自分たちには。運営の面に関してもだけど、土地は人のでしょ。信用できないよね」と、同案には反対の姿勢を明らかにした。
 「ヴィジョンを持って物事を始めてほしい。波風立てないでね」。〃移民の柱〃である文協への思いだ。
 「(文協の歴史の)五十年にこんなことなかったよね。『やっぱり、百周年が影響している』って皆、話しているよ」。リオデジャネイロ州日伯文化体育協会連盟の鹿田明義会長は、周囲でも話題になっていると話す。
 「我々としては傍観するしかないけど、文協会長は誰がなってもいいんだろうけど、心配なのは百周年の方だよね」。
 リオでは独自に百周年記念イベントを予定しており、出版物などにも百周年ロゴマークを採用する予定にしているそうだ。
 「上原さんが二年やってきたでしょ。谷さんになったら、(ロゴマークも含め)また一からになるのかな」と心配気味。
 「こっちの日系四団体の会議でも話したんだけど、まあ、リオとしては、百周年は二年間頑張った上原さんにやってもらった方がいいんじゃないかな」。百周年に関しては、上原続投を願っているようだ。
 「でも、あの箱モノだけは、白紙撤回してもらってもう一度検討してもらいたい」とレオポルジー案反対の意思を強調した。
 現在、文協選挙が法廷闘争にまで発展したことについては、「まずいことになったね。谷さんは選挙でも本当頑張ったけど、(裁判は)するべきじゃないよ。第一回選挙の時も、『皆で協力していく』って言っていたのにね」と否定的だった。
 「ともかく、一番の心配は、上原さんが変わったら、百周年自体も変わるんじゃないかってこと。日本の方でも『何やってるんだ』って思うんじゃない?何とか一つにまとめた方がいいと思うけどね」と締めくくった。
 「このままじゃ、どっちが勝っても百周年うまくいかない。どっちも辞退したら、後から喜ばれ、結果的にうまく行くのでは」。匿名希望の古参移民=サンパウロ州外在住=はいう。
 「委任状の依頼がどっちからも来ているが、私は投票するつもりはない。私の思い違いかもしれないが、どっちが勝ってもダメだと思う。どっちが勝っても仇を作り、苦しい思いをすることになるのでは。百周年で資金集めをする時に、悲しい思いをすることになるのでは」と心配している。
 このままで本当にいいのか、そんな気持ちで続ける。「九十周年ではサンパウロは大失敗だった。パラナには三万人が集まり、大統領も来た。上原さんはモルンビーに十万人集めたいと発表しているが、百周年はこのままでは大丈夫か、という思いがする」。
 ノロエステ連合日伯文化協会の白石一資会長は十六日に文協で定期総会に出席し、投票した。「百周年を前に裁判とは、醜い。百周年に支障があるようでは困る。もしかして裁判が長引いたらどうなるのか。残念です」。
 谷候補が裁判を起こしたことに対して、「もし投票結果が逆で、谷さんが二位だったら決選投票にしたいでしょう。選挙前に話し合って決選投票することに決めたのなら、その通りにすべき」と考える。
 同連合の五十嵐二郎名誉会長は、私個人の考えですがと前置きし、「ブラジル式に決選投票する必要ないと思う。学者ばっかりでなく、(文協会長として)上原さんはもっとしっかりせにゃいかん」と語った。
 以前、上原文協会長と渡部和夫改革委員が同連合の総会に出席した時、「上原会長は百周年のことは、渡部和夫さんに全て任せていると言っていた。それじゃあ会長の責任上、もう少ししっかりせにゃ」。
 アラサトゥーバ文化センター建築案は、百周年記念四事業の人にも選ばれているが、今のところ何の進展もない。「どうしようか困っている。ノロエステでは何とかして、〃日本移民発祥の地〃として、日本の伝統を子孫に残すことをしようと、白石会長らといつも話し合っている」という。日伯総合センター案しか話し合われない現状の、とばっちりを受けた格好だ。
 パラナ日伯文化連合会の上口誠一会長は「谷さんは訴えるなら、選挙をする前にやるべきだった。第一回投票で勝つ自信があったからから、やらなかったのかもしれないが。裁判所に訴えるのでなく、コロニアの良識に訴えるべきだと思う。誰か中に入って裁判を止められないのだろうか」と考える。
 「遠くにいるからよく分らないが」としながらも、「私も戦後移民だから谷さんには共感している。しかし二、三世の人材を集め一緒にできるかちょっと不安。かといって上原さんも戦後移民を無視しているようなところも感じるが、優秀なスタッフを集めている」と分析する。
 上口会長は十六日に上原さんに投票したが、さすがに「三十日は行けない」という。「誰が会長になっても、今まで以上にしっかりと運営し、コロニアや百周年をちゃんとリードしてほしい」と期待している。
 パラナ文化運動連盟の西森ルイス会長は、「私たちにとってサンパウロは、最大の日系人口を誇る中心。一番大事なところ。ぜひまとまって頂いて、文協を中心に横の連係を緊密化し、素晴らしい百年祭にしてほしい」と注文をつけた。