4月28日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ルーラ大統領の「お尻発言」が政財界の猛反発を呼び、非難の声が湧き上がっている。大統領が二十五日の低額クレジット発令の際の演説で金利に触れ、国民はご都合主義だとした上で、「なぜ重い尻を椅子から上げて安い金利を探さない」と決めつけたことが反響を呼んだ。
サンパウロ州工業連盟のスカフ会長は、現在の基本金利は経済の弊害となっており、投資意欲を損い、悲観論に拍車をかけるのみで、政府の無能と無責任さをさらけ出しているとの声明を発表した。国内工業連盟のモンテイロ会長(下院議員)も、高金利を消費者に責任転嫁するのは感心できないと不満を表明した。
鉄鋼のジェルダウ・グループのジェルダウ会長は、政府(中銀)が設定する高い金利のために、国内産業の需給バランスが崩れていることを認識すべきだと語った。またカルドーゾ前大統領もクリチーバ市で開かれた学会で特別発言として、金利や市中銀行を管理するのは中銀であり、国民の「お尻」云々より中銀を締めつけるべきだと述べた。
大統領発言は国会にも波及し、野党に格好の政府攻撃材料となった。ブラジル社会民主党(PSDB)の国対委員長、ヴィルジーリオ上議は「大統領こそ、たまには重い尻を執務室の椅子に据えて、仕事している振りでいいから見せて貰いたい」とし、外遊で飛び回る大統領を皮肉った。
またジョルジ上議(自由戦線党=PFL)は、国民は来年十月(大統領選挙)に重い尻を一斉に上げて現政権をつぶすと公言した。さらに下院第一副議長のノノー下議(PFL)は、「大統領の口は馬鹿げた発言をする機械みたいなもの」だとした上で、「よくも程度の低い発言が湧水の如く出るものだ」とあきれている。
これに対しルーラ大統領は非難どこ吹く風で、相変わらず強気の発言をしている。基本金利の引き上げは小売に影響を及ぼしていないとし、その証拠に購買力は低下しておらずスーパーの販売も増加していると強調。さらにサラリーマンの給料から天引きする融資も開設しており、今回さらに低額クレジットの低金利貸付も開始したことで、消費経済は活況を呈するとの見方を示した。