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コラム 樹海

 大きな事故では「必ずといってよいくらいヒュ―マンエラ―が見つかるものだ」そうだが、兵庫県尼崎市の脱線はスピードの出し過ぎが原因らしい。現場には右カーブがありJR西日本では、時速70キロ以内で走るように速度を制限していたのだが、若い運転士は100キロ超で走行していた為に百人を超す死亡者を出す大惨事を引き起こしてしまった。負傷者も五百人に近い▼まだ救出作業は続いており最終的な犠牲者は百二十人を突破するかもしれない。無謀な運転もだが、自動列車停止装置(ATS)が速度オーバーに対応しない旧式だったのも疑問視されるなど他にもいろいろな要因が重なったようだ。日本の鉄道は安全という神話があるけれども戦後になってからも大事故は多い▼1947年に起きた八高線脱線事故では死者が187人。62年の常盤線三河島事故は160人の命を奪ったし63年の横須賀線鶴見事故では161人が犠牲になっている。これを戦後の鉄道事故ビッグ3というが、多数の命を預かる交通機関で大切なことは「安全第一」であるのは言うまでもない。今回の惨事も原因の解明は徹底的にやってもらいたい▼高見隆二郎運転士は、23歳と若く経験も十一ヵ月と浅い。まだ発見されていないが、恐らく死亡している可能性が高い。JR西日本は、平成3年に信楽高原鉄道列車衝突事故を起こし安全対策の不備を糾弾されたこともある。あの衝撃的な事故から学ぶところが多かったはずだが、百人を超す死亡者を出すという大きな事故を起こしてしまったのを反省し安全第一を心掛けてほしい。(遯)

 05/4/28