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社会保障相疑惑=大統領、矢面に立つ=マスコミ人事はない=保障院改革の手腕に期待=政局の鍵握る検察庁

4月20日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ルーラ大統領は十八日、ロメロ・ジュカー社会保障相の疑惑関与追及を受け、マスコミ人事はないと初めて矢面に立った。同相は社会保障院(INSS)にはびこる悪の巣一掃に、らつ腕を振るっており、社会保障院存続のためには強硬手段に訴えざるを得ないと、大統領は同相を擁護した。同相は検察庁と連邦警察に対し、疑惑解明に向け進んで協力する意向を表明した。法相も告発された疑惑は解明すると公約した。
 ジュカー社会保障相の疑惑関与が紙上を賑わして以来初めて、大統領は同相の矢面に立ち、告発は想像の域を出ていないと批判した。政治家たる者、想像とは何かを心得ている。思いや考えではなく確固たる事実に基づいた上で、行動を起こすべきだと告発者に警告した。
 社会保障相は同相を恐れる輩を厳しく処分し成果を挙げていると、大統領は称賛した。社会保障院内に構築した犯罪組織を一掃し、骨を切るため肉を切らせる位のことは覚悟の上であり、同院存続のためにはやむを得ないとした。
 全ての勤労者が年金を受け取るために社会保障院は必要だ。未曾有の累積赤字を抱え崩壊の危機にある同院救済のため、同相は奔走し、見るべき成果を挙げていると大統領はいう。同相自身も検察庁や連警の捜査に応じることはやぶさかではないと話している。
 同相に対する疑惑の焦点は、同相が関係するフランゴノルテ社に取り付けたアマゾナス銀行の融資とされる。融資の担保として実際には存在しない幽霊農場七か所を提供したこと。他にロライマ州カンター市の公共工事への保健省予算を巡って、リベート山分けの様子が録音され、同相の名前が分け前享受者として浮上した。
 ジュカー社会保障相は記者団に対し、「私の辞書に辞任という言葉はない」と豪語した。政治家には、誤解や曲解、不当な圧力は付き物であり意に介しないと述べた。同相は告発者の名前は明示せず、野党にそそのかされた記者の創作であるとする声明書を発表した。
 政治家を志せば、必ず政敵が生じる。政治家は、ひいきの記者を抱え中傷記事をねつ造する。多くの記者は、この類いのネタを提供される。サイトという便利なもので、いわれのない中傷記事を流す。同相は必要であれば真実の解明をするが、出る釘が打たれるのは政治家の宿命と述べた。
 バストス法相は、国民は全て法の前に平等であり、大統領といえども過失は裁かれると、社会保障相などが列席する弁護士保健プラン創設式で宣言した。社会保障相は、事実を説明する義務があるとも述べた。
 社会保障相の疑惑関与についての真相解明は、フォンテレス検事総長の手にあるようだ。大統領府はINSS累積赤字解消の鍵である社会保障相の進退について、検察庁の意志表示を待っている。検察庁の出方次第で政局は大きく揺れる可能性が生じた。
 検察庁が捜査を開始すれば、ジュカー社会保障相を推薦したブラジル民主運動党(PMDB)との連立関係にも影響が及ぶ。ルーラ再選を目指した内閣改造は、出鼻をくじかれる。問題大臣の処遇は、政治危機にも発展しかねない波乱を含んでいる。