4月20日(水)
【エザーメ誌一八九八号】グシケン広報長官の顧問を務めたステフェン・コウヴェイ氏が、薄給でふて腐れているあなたのために「七つの黄金の秘術」を発刊し、ロングセラーになった。同氏はこのたびブラジルで「八番目の秘術」をカンポス出版社から上梓した。同氏は著書で上司への取り入り方や昇進、昇給の方法を指南している。職探しをしている人には、必読の書だ。
次は同氏との一問一答だ。
【広報長官には、どんな進言をしたか】長官は長期計画で失敗しないために、野党の協力を得る方法について意見を求めた。それで、まず同計画について野党の意見を聞くことを進言した。初歩的手法であるが、社会的地位の高い人が実際に実行するのは難しい。
完全に双方の意見が噛み合わないときに合意に達するのは困難だから、双方とも前もって第三の道を模索しておくべきだ。特に政治の世界で折衷案を出すことは、民間企業の最高経営責任者(CEO)の立場よりも複雑である。
【なぜ複雑なのか】政治の世界は、産業界のような競争社会ではないからだ。政治界は余程バカなことしないかぎり、クビの心配はない。政治家は左派も右派も山羊の頭突きのように、徒党を集めて物事を解決しようとする。それは世界中どこも共通だと長官に進言した。中国の胡錦涛主席にも同じことを進言した。
【中国が招へいした理由は】中国は新時代の競争を乗り切り経済の基礎となる中産階級を育てるため、頭の古い指導者の洗脳を私に頼んだ。そのためには双方の間に絶対的信頼が必要だが、中国人の話法には曖昧な表現が多い。
中国要人の言葉の端には、近代化を進める一方で旧ソ連時代へ逆戻りしかねない不気味な発言が飛出る。いつ何時、血の粛清時代へひっくり返るか分からない危険が付きまとう。それは、中国に対する自由主義諸国共通の見方といえる。
【一国の指導者が行き詰まり、助言を求められた経験は】どこの国の指導者も、先にも後にも動けないことがある。そんなときは、側近ら協力者と名誉を分かち合うこと。たとえ自分の功労と思えても、側近の協力を軽視してはいけない。民間企業ではこれが鉄則といえる。
【理想的な指導者とは】考えの異なる野党とうまく付き合ったのは米国ではワシントン初代大統領、ブラジルではヴァルガス元大統領の評判がいい。二人は相手の立場で物を見ることができたからだ。だから容易に共通点を見出し、包み込むことができた。
【指導者となるためには】指導者意識を持つと,ウサン臭くなる。誰でも理性的タイプや情熱的タイプと、得意分野がある。他人より一歩先が見えて進取の気鋭に富んだ者が、その場の指導者なのだ。
二つの質問をしたら指導者は光って見える。一つは何が好きか。二つは何をやらせたらプロ級か。言われたことしかしない情熱の冷めた人間は、会社にとって伝染病を感染させる病原菌だ。就職希望のあなたは、面接者の前に座って光っているか。
【昇給を上げて貰うには、どうするか】給料を上げてくれというのは、愚の骨頂。昇進昇給とは縁遠い窓際へ追いやられるのが関の山。栄転や昇格を望むなら、あなたは自分を卑しめる。まず自分の実力を養い、ピンチが来るのを待つ。ピンチを買って出る。昇給を貰うより責任を貰う。カネは仕事の後から着いて来る。
【プロは、どうするか】プロには四つの特徴がある。情熱と行動のほかに、大局的視野とビジョンがある。普段の会話に含蓄がある。わき見をしない。会社は時代の変遷と共にチップを交換するように、人材も交換する。
米系企業では、定期的に人材が交換される。社員の業績競争が、企業の生命と考えられている。平均以下は人間のクズ扱い。業績の良悪は、ライバルとの比較で決める。この経営法を取り入れている企業は全て業界のトップだ。
【この考え方は個人の生活でも通用するか】疑う余地はない。他人に処世術を教えても無駄だ。本人が生活習慣を変えるのが先決。普通の人は自分の置かれた立場をどう変えるか考える。それより頭の方向を変えること。普通人の共通点は、何が最も重要なのか判断できないこと。