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オッパチューニティー銀行=電話事業から排除=電信庁が裁決下す=テレコム・イタリアに軍配=民営化以来の汚い戦争に幕

4月14日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】電信庁(ANATEL)は十二日、ダニエル・ダンタス氏率いるオッパチューニティー銀行を電話事業から排除する裁決を下した。同銀行は、ブラジル・テレコムやテレミグ・セルラー、アマゾニア・セルラーの経営権を持つ国際CVCファンドを管理していた。ダンタス氏は、CVCがこれら電話会社の大口株主となったことで、同庁へ経営管理許可を申請していたが、今回正式に却下された。
 オッパチューニティー銀行による経営管理の許可申請は、ANATELに退けられた。株取得によるCVCの管理権の発生と、電話会社の管理権の同行への変更は別の事項であるとして、ANATELは管理許可申請を却下した。この裁決はさらに波紋を呼びそうだ。
 同銀行は控訴のため十日間の時間が与えられた。ANATELのアマラル総裁は、ただ一人裁決に反対した。CVCの管理権発生だけを承認し、別件は後日検討する考えを示した。
 公共サービス基準局も同総裁と同じく、オッパチューニティー銀行下請けのフツレテル社とザイン社への管理権の変更を了承していた。オッパチューニティー銀行の排除で、国際CVCファンドの管理はシティグループヘ移る。
 ブラジルCVCファンドは、PREVI(伯銀年金基金)系のアングラ・パートナースの管理に移る。関係者は権限が一方から他方へ移るだけで、ブラジルの電話事業は何も変わらないという見方をしている。下っ端の人間の首をすげ替えただけで、同じボスが君臨することに変わりはない。
 オッパチューニティー銀行のダンタス氏は、シティグループの資産管財人に過ぎない。テレミグ・セルラーとアマゾナス・セルラーの経営権をシティグループの了解を得ずに変更しようとし、米法務省から待ったがかかった。これでダンタス氏は立場が悪化した。この時点でオッパチューニティー銀行の排除は決まっていた。
 ダンタス氏はANATELの裁決が出るまで、米法務省の決定撤回を要請した。ANATEL裁決は近く官報で広報、法的効力も発生し、ダンタス氏へのトドメとなる。クロール社起用で賑わした企業スパイ事件も山場を越えそうだ。
 シティグループとPREVIなど年金ファンドは、これら電話会社三社の株を手放す意向のようだ。テレコム・イタリアが一括購入するらしい。テレコム・イタリアとダンタス氏の間で火花を散らした電話事業の民営化以来の汚い戦争は、一回戦が終わった。
 テレコム・イタリアのマルコ・T・プロヴェラ社長は、ブラジル・テレコム株買い上げのためイタリアで投資者の募集を始めた。シティグループはブラジル・テレコムの株売却が目的だったのか、ダンタス氏追放が目的だったのか複雑だ。企業の経営戦略に振り回される管理職は惨め。
 経営戦略に長けたテレコム・イタリアは二〇〇二年、固定電話を一度見限った。これからは携帯の時代とみて、携帯電話への投資に意欲を持っていた。携帯電話業界の水面下戦争は、まだまだ熾烈を極めそうだ。