4月12日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】サンパウロ市近郊イタペセリカ・ダ・セーラ市の未決囚拘置所で十日、拘置者たちによる暴動が発生し、一人が死亡、一人が重傷を負った。被害者はいずれも拘置者だった。
この騒ぎで職員七人が一時人質となったが、無事解放された。通常の暴動は、すし詰め状態といった所内の待遇改善を求めて行われるのに対し、今回は拘置者同士の勢力争いとえん恨によるもので、面会日を利用した計画的なものだった。
暴動は午後十二時二十分に発生した。所内には勢力争いやえん恨などで、拘置者らから「死の宣告」を受けた者がいる。彼らを保護するために隔離房が特別に設けられ、一般拘置者とは別に彼らは収容されている。暴動者らはこの房の扉を壊して乱入、二人にリンチを加えた。そのうちの一人は火をつけられ焼死、死の宣告が実行に移された。もう一人は死を免れたが重傷を負った。
死亡したのはサンパウロ州内きっての犯罪組織、首都第一コマンド(PCC)のメンバーで、組織から命じられて敵対人物を殺害する「殺し屋」を稼業としていた。おそったのは同じグループの者で、家族を間違って殺害されたことによる復讐だった。目的を遂げた暴動者らはそれでも人質を楯に立てこもったが、午後五時過ぎ軍警の説得に応じて投降した。その際ピストル三丁と携帯電話五台を引き渡した。入手経路は不明。
この日は面会日で、拘置者の親戚や縁故者約三百人が所内にいた。逃亡を防ぐため全ての門が閉ざされたため、所内で四時間以上閉じこめられた。面会が取り止めとなり、ほとんどが面会できないまま拘置者の安否を気づかっていた。所外でも面会人などが暴動の報を聞いて続々と詰めかけ、群衆は膨れ上がった。
同拘置所は昨年八月に開所したばかりで、収容定員七百六十八人に対し、現在一千三百五人が収容されている。騒動は初めてのこと。