4月8日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ブラジル地理統計院(IBGE)は六日、三月の車両輸出が二十一万八千六百台、金額にして九億三千六百四十万ドルと過去最高を記録したと発表した。二〇〇五年第1・四半期の車両生産は、ブラジルに自動車産業が開幕して以来最高の活気を呈した。〇五年の車両生産は、二百三十万台という金字塔を打ち立てるものと思われる。工業生産は一月から二月に一・二%後退する中、自動車だけが気を吐いている。
ドル安にもかかわらず車両輸出は好調だった。ブラジルの自動車産業は五〇年代に開幕して以来、〇五年第1・四半期の生産が五十六万五千三百八十五台と過去最高で、昨年同期比一二・五%増となった。第1・四半期は好調な輸出に支えられ、自動車産業史の中でも驚異的なフル生産が行われた。
好調な車両輸出は世界経済回復の追い風に乗り、アルゼンチン経済にも回復の兆しが見られるためとされる。また、ブラジルの車両生産技術も世界に引け目を取らぬ水準にあることが認められたらしい。心配なのはドル安に対する為替対策がブラジルに欠け、将来に不安が残ることだという。
自動車工業連盟(ANFAVEA)の予測では、〇五年度の輸出は昨年比七%増、金額にして八十九億ドルに達するとみられている。成長率は輸出が〇三年比で四八・五%も急増した昨年より低いが、年間生産台数では二百三十万台と昨年比五・四%増で記録更新を期待。
〇五年第1・四半期の輸出台数は約十七万台で、総生産の三〇%に相当する。三月の新規雇用は三百二十五人、十五カ月間にわたって雇用が創出された。一方で農機具業界は三百五十九人を解雇した。自動車業界全体では、十万四千人が就労している。
自動車の国内販売は第1・四半期で四・八%増、三十七万台が売れた。三月は有効日が少なかったが、前月比三〇%増の好成績だった。第1・四半期は高金利と鉄やプラスチックなどのコモディテイが高騰する中での成長で、障害物を押しのけて成長する植物的活力の結果だった。
連邦政府は三月初旬、鉄鋼製品の輸入関税をゼロ化し、自動車を始めとする数々の分野に便宜を図った。しかし、これまで鉄鋼製品の輸入を発注した企業はない。この政府措置は、六カ月間は効果が見えないとANFAVEAはいう。
車両組み立て企業は、販売価格を一・五%から二%毎月調整し、原価の高騰に対応している。工場とデイラーの三月末在庫は十四万六千台、二十九日分の販売台数とされ、まずは上々。
悪いのはトラクター。全て予想以下となった。〇四年の予想在庫台数は三万台だったが、結果は三万四千台の在庫。売上が前年比二〇・六%減。農業は干ばつとコモディテイの暴落で散々だ。農機具業界の第1・四半期の成績は前年比で二七・八%落ち込んだ。
一方、IBGEは自動車が好調な反面、消費財の生産が十二月から二月まで同水準で停滞し、設備投資は激減したと発表した。これは〇四年末に陰りが見え出した景気減速のためと、事態を憂慮している。資本財製造業の設備投資が減少し、ローンと可処分所得に支えられる消費財製造業に異変が起きているという。