4月7日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】セヴェリーノ・カヴァルカンチ下院議長は五日、政府が上程する暫定令を、議長権限で拒否していく方針を明らかにした。一般に上程される動議案については議長に採択権があるが、暫定令はこの権限について触れていないため、議会事務局で合法かどうかを見極めた上で実行に移すとしている。
これにより議長就任以来確執が続いているルーラ大統領との溝はますます深まることが予想される。これまで安易に暫定令を上程して急場をしのいできた政府に壁が立ちはだかることになる。これに対し同議長は発言の中で、「現政権に反対している訳ではなく、これまでの大統領の過ちを是正するだけだ」とした上で、「暫定令に安易に頼りすぎている」ことに言及した。
そもそも同議長が拒否権を行使する動機となったのは、先に廃案となった暫定令二三二号で、この審議に関連して国会が空転したことによる。暫定令の性質上、国会では優先的に審議されなければならない。同議長によると、これまで月平均五件の暫定令が上程されてきており、とくに緊急および重要案件と思えないものばかりという。さらに現在でも八件の暫定令が未審議の状態となっており、このままでは国会は暫定令の審議に終止して、本来の活動が停止するとの見解を強調した。
議長が拒否権を行使すると、暫定令は大統領に突き返されるほか、現在国会の表決待ちながら実施されているミクロ融資規制や社会福祉補足令などが無効となり、廃止される。これまで一九八九年に時のジョゼー・サルネイ大統領が上程した運輸関連の暫定令を上院議長が拒否して差し戻した例が一度だけある。
下院議長選挙に続き、暫定令二三二号の廃案はルーラ政権最大の敗北とされている中、今回の措置は追い討ちをかけるもので、与党内はあわてふためいている。与党の国対委員長は、せめて上下院の各党による暫定令審議委員会を設置して、検討の場とするよう議長に提案したが、頑固一徹の議長が譲歩するか注目されている。