4月6日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ロメロ・ジュカー社会保障相の公金横領疑惑でルーラ大統領は四日、同相を推薦したブラジル民主運動党(PMDB)のカリェイロ上院議長に党の責任を求めた。公共予算を同相経営のフランゴノルテ社へ流用させたことを巡って不正疑惑が浮上、社会保障相の出所進退に黄信号が灯った。大統領は身辺に漂う黒い霧を不快とし、党を挙げて事態の収拾に精進するよう上院議長に命じた。
ルーラ大統領は、ジュカー新社会保障相を巡る汚職と公金横領の黒い霧に不快感を表明した。大統領側近は、事態が同相の出処進退にまで及んでいるという。大統領は、問題の人物を閣僚ポストに推薦したPMDBの責任を追求した。所属党の名誉に賭けて、疑惑の解明と事態の収拾を上院議長に求めた。
波紋を呼んだ内閣改造で、事もあろうに灰色議員を推薦したPMDBを叱責した。現在までPMDBから同相の潔白を証明する説明は何もない。大統領府は同件に厳しく対応する意向だ。同相の釈明がないので、連邦警察の捜査結果を待っているようだ。
同相によれば、告発は政治取引の一端であるという。ロライマ州の政争を告発で持ち出したという見方だ。同相は三月二十九日、フォンテレス検事総長宛に疑惑解明の要請書を提出した。同書には、ボア・ヴィスタ市郊外カンター郡への交付金の供与や、同相の所有企業への融資にまつわる件が克明に記されている。
疑惑の中には、農地の不正取得をあっせんする業者に同相が便宜を図ったという告発もある。社会福祉厚生負担金の滞納企業から、滞納分決済のために農地の受理を認める補足令制定に同相が尽力した。受理した農地は、アマゾナス州の政府公有地を不正取得したものだった。
ランド前社会保障相とベゼラ社会保障院(INSS)総裁と同相との間にあった確執の原因は、民間銀行十三行への年金業務委託だった。民間銀行に債務を抱える年金生活者の月賦を年金から差し引くことを認めるかどうかが争われた。委託業務を利用した年金の不正取得が当局の捜査で指摘されていたという。
同相は、INSSを根城とする犯罪組織の通話の盗聴記録にベゼラ氏の名前が度々登場したことを不審とした。年金生活者への民間銀行融資は民間銀行のドル箱となっている。中央銀行の統計では、三月までに民間銀行と国立銀行から四十二億五千万レアルが貸し出されている。
政府は同相に対する告発よりも、社会保障院の累積赤字四百億レアルに関心がある。同相は負担金滞納の取り立てに手腕を発揮することを宣言した。まず滞納者包囲網を設け、八十億レアルを絞り上げるという。泣く子も黙る地頭よろしく、五月から目に見えるよう成果を挙げてみせると約束した。多くの滞納者が夜も眠れず震え上がると豪語した。
負担金滞納者リストを中銀のIT技術で作成した。国立銀行との取引停止作戦を実施し、滞納者をあぶり出す考えのようだ。作戦はさらに広げ、政府機関のあらゆる出先でも滞納者を追い込むらしい。まさに敵千人、味方千人のようだ。