4月2日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】ブラジルなどの発展途上国に対し、国際金融界の最大手シティバンクのウイリアム・ローデス頭取が三十一日、銀行全盛時代は終焉したと警告した。米連邦準備制度理事会(FRB)のフェデラルファンドレート(FFレート)引き上げにより、途上国へのクレジットが制限され、金融システムに支障を来す可能性があるという。世界的な通貨危機が迫りつつあり、発展途上国は不確定要因に備えることが必要だと同頭取は通告した。
同頭取は先進国銀行会議で、国際通貨危機の兆候があり、ブラジルを始め発展途上国は、これまでの安易な金融万能主義に終止符を打つよう通告する声明を発表した。世界の金融市場で過剰に流通している通貨を、FRBはFFレート引き上げで吸収する狙いがあるようだ。これからはスプレッド貸し出し(市場金利連動型貸し出し)を融資の中心に、資金調達コストをベースとした利ざや稼ぎが国際金融界の主流になるらしい。
同頭取は経過報告だけでなく、今後の傾向についても言及した。これまでの途上国への金融支援は、それなりの成果を得たことで評価できる。しかし、過去最大の通貨供給量を制限することで、途上国は資金不足を余儀なくされる。途上国はその事態に備える必要がある。
その兆候は、FFレートの二・七五%への引き上げが第一弾。第二弾は途上国への貸し出しが、スプレッド方式へ転換される。これが借り入れ国への援助と、貸し出し国の喜捨になると述べた。従来の融資方式を利用したブラジルは二〇〇四年、経済成長率をゼロから五・五%へ引き上げた。
国際金融界は過去の経験を参考に、スプレッド貸し出しで途上国に融資する傾向は今後強まるという。この方針が正解ならば、金融市場へもたらす結果で途上国経済は運営される。国際経済の基盤は軟弱になるので、これから途上国経済は試練の時代を迎える。
ブラジルへの影響は、どうなるのか。シティバンクの評価では、ブラジルは優等生らしい。高金利政策という餌で外資を釣り上げた時代が終わったということは、金融システムの変換が迫られているということ。各途上国が今後どう対応するか興味深いとシティバンクはいう。
ブラジルは優等生だが、カントリーリスクを抱える国のリストには顔を並べている。カントリーリスクから卒業したければ、一連の改革を能率よく続行すること。現在の状態では、いつでも通貨危機に陥る可能性があると国際金融界はみる。
イタウー銀行のセットゥバル頭取は、警告を次のように受け止めた。ブラジルは為替変動性に変更してから、外貨準備高が豊かになった。経済が大きく安定し、資金調達が容易になった。通貨危機の接近がブラジルの経済成長に影響を及ぼすことは想像できる。予測としてGDP成長率は三%から三・五%。しかし、先のメキシコ危機やアジア危機のように、国際通貨危機がブラジルまで連動はしないとみている。