4月1日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】法務省の経済法務局(SDE)は三十日、ヴォトランチンやカマルゴ・コレーア、ホウシン、ラファルジェ、ナサウ、ソエイコン、シムポル、シプラン、イタンベなどセメント大手企業が、カルテルを形成した疑いがあるとして告発した。これら企業は法外な価格を設定し、顧客差別や売り渋り、販売拒否などを行ったとみられる。調査の結果違法行為が立件されれば、経済防衛行政審議会(CADE)が取引額の三〇%以下の罰金を課す可能性がある。
法務省のSDEは二カ月間にわたってセメント・カルテルを調査し、十四件の違法行為を摘発した。セメント生産企業と超格安価格で販売する傘下の生コン企業エンジェミックスやスペルミックス、カウエミックスにも、SDEは仕入れ価格の照合を行った。
傘下の系列企業がダンピングを行い、ライバル企業にはセメントを法外価格で販売し、ライバルを排除していた。ライバル企業を一掃した後、独占市場を形成し、セメントを法外価格に引き上げダンピングによる損失分を取り戻していた。
傘下の生コン企業にはセメントをトン当たり五十レアルで卸し、傘下以外の企業には二百五十レアルで販売。そのため二〇〇一年から現在まで、傘下以外の生コン企業百三十社が閉業へ追い込まれた。
SDEの調査によれば、ヴォトランチン傘下の生コン企業エンジェミックスは、一立米の生コンを九十五レアルで販売している。その他の費用と税込みで、百三レアル七二センターボスとなる。傘下以外の生コン企業は、生産原価以下の価格だと抗議した。
さらに傘下以外の企業には、売り渋りをしたため円滑な営業活動ができないと訴えた。セメント生産企業は、傘下企業への出荷を優先した。傘下以外の企業は供給が不安定なため、原料不足と法外価格で瀕死の状態に陥った。
セメント生産企業の生コン企業買収は九〇年から始まり、欧米のシステム導入で系列化が始まった。一時はセメント価格の暴落があり、消費者や建設会社を喜ばせた。セメント生産企業によるカルテル形成の布石だったのだ。その後は、市場の独占が行われた。
業者の不満が散発的抗議となって現れたが、カルテルは歯牙にも掛けなかった。系列化は巨大な組織を築き、市場を歪めた。系列化の前に系列外の生コン企業はなす術がなく、破滅の運命を余儀なくされた。
系列化は市場の自由競争を歪曲するものだが、国際的傾向なので違法行為かどうかは見解が別れる。系列化によって格安価格で販売しライバルを排除することが妥当か否か、CADEの判断にかかっている。
一方、ヴォトランチン・セメントは、告発を浅慮な行為と糾弾した。ブラジルにはセメント生産で大手十社がしのぎを削り、外資の資本参加を有する企業も多いという。セメント生産企業間の熾烈な戦いは国際的なもので、生コン企業の比ではない。カルテル形成告発は寝言だと訴えた。
セメント生産連盟はカルテルと裁定されたわけではないし、企業が生き残りのために手段を講じるのは自然の行動だとしている。