3月29日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】原油価格高騰と、南部地方の干ばつを原因とする農産物価格高騰により、二〇〇五年度インフレ目標率の五・一%達成が困難になったことが二十七日、パトリア銀行の調査で明らかになった。農産物コモディティ(必需品)価格は三月に前月比で一〇・一%上昇した。特に急騰したのが、とうもろこしの二二・六%、大豆一六・四%、コーヒー一三・四%、オレンジ・ジュース八・九%など。他に原油や金属製品全般などが高騰した。
中央銀行通貨政策委員会(COPOM)のインフレ目標四・五%はすでに突破した。インフレは懸念する事態となっている。ドル安の影響がインフレ圧力の低下として市場にまだ反映されておらず、それを上回る要因が市場を覆っている。
パトリア銀行は、中銀が近日中にも基本金利を一九・二五%から二二%に引き上げるのではないかと予測している。引き上げ理由として特に考慮されるのは、原油と干ばつによる穀類の高騰。また米連邦準備制度理事会(FRB)の公定歩合引き上げによるドルの反発も、ブラジル市場へのインフレ圧力になるものと予想される。
農産物コモディティと金属製品の輸出価格は、三月に平均で前月比六・八%、昨年同月比七・七%増となっている。主要農産物の中には砂糖やコーヒー、オレンジ・ジュース、大豆油、大豆粕、粒状大豆、鶏肉、金属製品には金、アルミニウム、錫、鉄鋼製品、鉄鉱石、パルプ、紙、石油製品などが含まれる。
石油製品は一五%、アルミニウム五・七%、亜鉛は五・六%値上がりした。銅の輸出はなかったが、ロンドンの商品取引所で十七日、銅はトン当たり三千四百二十四ドルと十五年来の高値を付けた。
番狂わせとまではいかないが、最近のインフレ傾向は〇五年度目標からかけ離れている。インフレの正体は明らかで、ブラジルの農産物全般へ大きく連鎖的に影響を及ぼすとみられる。原油の〇五年度平均価格は、昨年比二三%増と予想される。原油高騰はディーゼル油やガソリン、プラスチック原料にも波及する。
コモディティは一か月前まで続落したが、南部の干ばつで歯止めがかかった。
トウモロコシへの被害は、甚大とされる。特に憂慮されるのは鶏肉への影響。鶏肉が上がれば、全ての肉製品が値上がりする。
大豆の予想収穫量も下方修正された。穀類の平均価格は昨年比一二%以上の上昇。大豆の国際相場は二月に一八%上げた。小売市場には影響が見えないが、卸市場はすでに価格調整を行っている。
総合市場物価指数(IGP―M)は二月の〇・二二%から三月には〇・五五%に上げた。卸売物価指数は二月の〇・〇九%から三月には〇・五五%、農産物だけなら同期間に二・一七%上げた。
ドル安が昂進したにもかかわらず消費市場に反映されないのは、輸入業者に対するPIS(社会統合基金)とCofins(社会保険融資納付金)の増税が理由と関係者はみている。両税のインパクトがドル安の恩恵を帳消しにしたという。