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市長ら増給に市民プッツン=議場に乱入、警官隊と衝突=増税後、ボーナス支給決定=ゴイアス州

3月29日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ゴイアス州シダーデ・オシデンタル市で二十二日、市議会が市長らの増給お手盛案を可決したことで、憤慨した市民が市議らを襲うという事態が発生した。事態を事前に予測した市議会の要請で出勤した警官隊に守られ、市議らは無事だったが、群衆は警官隊ともみ合いとなり、多数のけが人が出た。
 市議会では市長、副市長および六人の局長クラスに、十四カ月、十五カ月給与と称するボーナスを支給することを決定した。これに準じて市議らも昇給の対象となる。表決は九人の市議で投票が行われ、野党の四人が反対、市長(ブラジル社会民主党=PSDB)の与党連合四人が賛成で票が分かれたが、最後に議長が賛成票を投じて決議された。
 この決定に対し、傍聴席から野次や怒号がわき上がると同時に、議場に入りきれずに外で成り行きを見守っていた二百人の群衆が棒切れや石を投げて議場への突入を図り、出動していた警官隊六十人と衝突した。警官らはゴム弾、ガス弾を発射したため、現場はさながら戦場の様相を呈した。群衆の中から多数のけが人が出て、うち五人が病院に運ばれた。市議らは警官隊の人垣に守られ無事だった。
 同市は人口五万人、ゴイアス州都ゴイアス市から二百二十キロ、ブラジリア連邦直轄区から四十五キロのところにあり、ブラジリアの経済や産業に頼る衛星都市に属している。これといった産業もなく、市民のほとんどがブラジリアで就労しており、九〇%が最低給料という貧しい市だ。
 再選を果して続投となった市長は、前期は波風を起こさず勤めたが、今期に入って財政緊縮を理由に、公務員に対して交通費、食費の支給を全面カットした。さらに固定資産税を大幅に引き上げたことで市民の反発をかっていた。そこにきて今回の昇給で市民の怒りが爆発した。
 市長の月給は八千四百レアルで、今回のボーナス支給で年間収入が十二万六千レアルとなり、ルーラ大統領の十一万五百レアルより多くなる。これに対し市長は、議会が勝手に決めたことで、ボーナスは受け取らず市に返すとうそぶいている。また市長は、今回の決議を演じた市議会議長を、議会を我物顔にしているカヴァルカンテ下院議長の所作をまねていると非難している。