植えた桜３千200本の管理きちんと＝ブラジル・ニッポン移住者協会が決意「責任持って」＝新たな植樹１万本アルファヴィーレに＝総会、婦人部設立など決議

3月29日（火）

　これまで植樹した桜の手入れを、きちんと行います──。ブラジル・ニッポン移住者協会の定期総会が二十七日、サンパウロ市リベルダーデ区の宮城県人会会館であった。工業移住者協会会長の小山昭朗氏（６４）が、新会長に就任。戦後移住五十周年を記念してスタートさせた桜の植樹事業について、最後まで責任を持って管理していく決意を表明した。総会に先立って、臨時総会が開かれ、役員の任期を一年から二年にするといった定款改正案が提案された。臨時総会が成立するために必要な出席人数が揃わず、流会になった。

　桜はこれまで、ピエリーニョ・デ・アグア公園やサンパウロ大学構内などに計三千二百本が植えられた。相手方との連携プレーがうまく取れなかったことなどから、手入れが行き届いていないという。
　石川準二植樹管理理事によると、ピエリーニョ・デ・アグア公園の二百本のうち一割程度は、枯死してしまった。「心無い人に、荒らされたりもしましたから…」と重く受け止めている様子だ。
　サンパウロ大学は植樹に対して、協力的な態度。水遣りや施肥などを引き受けてくれている。一方で、「日本庭園が除草されずに、雑草が生い茂っている」（関係者談）とも指摘された。
　同協会では、昨年従来の植樹委員会とは別に、移民百周年記念を記念して、アルファヴィーレに一万本を新たに植えるなど新植樹事業を計画。理事会での承認後、パンフレット作成代として四千九十九レアルを担当者に渡した。
　ところが、百周年祭典協会との調整が付かず、製品は納入されていない状態。担当者は「共催という言葉を入れるために、向こうの返事を待っている」と事情を説明する。既に、金銭は業者に支払っているために、回収することは難しいという。
　このような状況の中で、今年は、管理費として一万九千五百レアルを予算に計上した。「少し大目に見積もった」と理事会は強調した。
　「戦後移住五十周年で、十五万レアルくらいの金が残った。収入があまり見込めないので、このままいくと、あと二、三年で予算が立てられなくなる」。「この団体が管理をするのは無理。我々が植樹を推進、管理まで引き受けてくれるという団体に十本でも植えるということにしたらどうか」などといった、懸念の声が上がった。
　これに対して、小山新会長は企業などに協力を求めて、管理費を確保していきたい考えを示した。「まず、三千二百本の手入れをきちんとすることが大切。その上で余力があれば、新規事業も計画したい」と語り、予算などを見直すつもりだという。
　定期総会には、三十四人が出席。〇四年度事業・決算報告、〇五年度の予算・事業計画案などを審議した。
　昨年度の収入は、繰越金十七万八千二百五十三レアル二十二センターヴォ、ＪＩＣＡからの記念誌助成金が二万五千四十五レアル十五センターヴォなどで計七万七千九百八十二レアル二十センターヴォ。これに対して、植樹に一万四千六百九十四レアル六十九センターヴォ、記念誌発行に八万千七百八十五八十三センターヴォなどを支出した。
　今年の予算は十三万四千八百七十三レアル九十八センターヴォ。婦人部の設立（四月）、百周年記念誌編纂準備委員会発足（五月）、シルバー・タウン建設委員会発足（五月）、講演会（六月、十一月）などの事業計画が予定されている。
　役員改選では、シャッパが提出されなかったため、その場で、小山新会長と山城勇植樹委員長が推薦を受けた。山城氏が辞退した上で、出席者に是非を問い、賛成多数で小山氏を会長に選出した。
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　定期総会に先立って、臨時総会が開かれ、定款改正案が審議された。改正案の柱は、（１）住所の変更（２）役員任期を一年から二年に延長する（３）委員会について権限を明記する──など十一項目。
　多数決の結果、定款改正が承認された。が、吉加江ネルソン監事が、ポルトガル語の定款が示されていないことを懸念。その上で、新民法を持ち出し、「臨時総会が成立するには、会員の三分の一以上の出席が必要だ」とした。
　会員数は、昨年十二月の時点で約百三十人。うち会費を支払っているのが、八十二人だった。
　この後、会員の資格、総会での投票権の有無などについて議論が続いた。三十分ほどで終るはずだったのが、定期総会に大きく食い込んだ。
　執行部が五分間、臨時総会を中断して対応策を協議。「出席人数が足りないため、流会にする」と結論を下した。出席者も最終的に、執行部案を受け入れた。
　会場からは「地方からの出席者も多いはず。臨機応変に対応してもよかった」、「委任状が認められないなら、今後、臨時総会を開いたとしても成立しない恐れが大きい」などと疑問の声が上がっていた。