3月25日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十四日】初閣議に臨んだルーラ大統領は二十三日、下院議長選の敗北による組閣の不手際を大統領と与党労働者党(PT)の失策であると自己批判した。カヴァウカンチ下院議長の選出は、与党内のナマズ共の造反がもたらしたもの。組閣では推薦人物を起用せず、大統領の独走で党のモラルを損なったとした。今後は下院との政治折衝に大統領が直接臨み、連立与党の幹部と連携して陣頭指揮を執ると述べた。
半年に及んだ内閣改造の間、大統領は無為無策で休止していたのではないと閣議で告白した。工場ではナタを振り回すと、労働者はクビを切られるのが怖くてよく働く。閣僚らは能力を生かし、任務に努めるようハッパをかけた。進歩党(PP)議員の入閣を取り下げたのは、下院議長の要求に屈したと思われたくないためだと釈明した。
政府が次に挑戦するのは、農地改革と社会保障制度改革だという。閣僚への推薦は今後無用。いつでも閣僚を切り、後任を即時起用する。これで組閣騒ぎは幕引き。内閣改造は今後、突然行うという。
大統領は新閣僚二人と議会対策委員の紹介の際、政権を委託されたのは大統領自身であると述べた。閣僚を任命するのは大統領の権限であり、下院議長にも誰にも権限を委譲も分担もしないと言明した。
大統領がなめられたという印象は拭えない。次期大統領選へ向けた内閣大改造にしては、説明が不十分だ。誰もが、ジルセウ官房長官とメルカダンテ上議の処遇について関心がある。しかし説明は全くない。
「ナマズ共の造反」に対して大統領は今後、自分で対処する決意を示した。下院与党勢の結束がもろいことで、レベロ政調会長の力を強めることにした。下院議長が三百票を手中に握っているというが、物事はそう簡単に行かないと大統領はたかをくくっている。
大統領は「ナマズ共の造反」について、九三年に大統領と官房長官のカップルがPT過激派からNATO条約機構と皮肉られ、党内で非難を浴びた苦い経験がある。翌九四年の大統領選でルーラ氏は敗れ、ジルセウ氏の主導するPTサンパウロ州支部の影響力も党内で弱まった。PT内の結束を図るため九五年、両氏は過激派に譲歩した。大統領は、下院議長に合流した者をナマズとみている。
ナマズの群れとはいえ、立法府の承認を得ずに行政府は何もできない。大統領は閣僚達へ、立法府に対し優しい言葉と柔和な態度を忘れないよう勧告した。特に暫定令を乱発するPT政権は、議会への礼儀作法に注意する必要がある。出ないものを出す浣腸器ではないと、下院議長が不満を漏らしているからだ。
一方、カヴァウカンチ下院議長はPP入閣が袖にされたことで、議員給料について討議するため、二十五日特別召集の電文を全下議に送った。大統領への報復作戦第一弾だ。次は税制改革、続いて十件に上る暫定令の取り扱いでも一矢を報いる魂胆らしい。