3月23日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ニューヨーク・タイムズ紙が、ドロシー・スタング宣教師殺害事件を報じた。パラー州アナプ郡は七〇年代から、無法地帯だった。それを歴代の政権は看過した。今回起きた米国人宣教師の犠牲によって初めて、政府は重い腰を上げたらしい。
これは単なる殺人事件ではなく、州政府にも根を張る組織が挑発した犯罪だ。はたして政府は同州の組織犯罪を根本的に解決するのか。とかげのシッポ切りに終わらないのか。
アラプ郡がきな臭くなったのは、同郡を貫通するアマゾン横断道路の舗装化計画以後だ。同地域の銘木に目をつけた有力者が考え出した犯罪計画で、それから入植者の住宅への放火や一家皆殺しが始まった。土地を違法取得し銘木を切り尽くしたら、跡地を大地主に売りとばすパターンだ。
この事態に州政府も保安局も見て見ぬ振りをした。九五年までの十年間に入植者一千人が殺害され、逮捕された犯人は五人に過ぎない。これは官憲ぐるみの犯罪で、国家と法律の上に君臨する強大な組織があったことを物語る。
陸軍部隊の駐屯は、一時的な措置であってはならない。長い間、犯罪組織の支配下にあったのだ。末端の小者を捕らえて全ての罪を着せるのでは、犯罪の根は絶てない。ボスは、涼しい顔をしているだけだ。