3月19日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】セヴェリーノ・カヴァウカンチ下院議長は十七日、サービス部門の増税を盛り込んだ暫定令二三二号原案は、ほぼ廃案になったことを明らかにした。下院議長はパロッシ財務相と昼食の席上で、同暫定令の修正について話し合った。新たに発表する暫定令は所得税(個人)減税は原案通りとし、サービス部門は、給与総額と使用者側の厚生福利負担金、退職積み立て金(FGTS)を、二〇%を限度として収入総額から差し引けるとした。
所得税減税の穴埋めとしてサービス部門の増税を盛り込んだ暫定令二三二号は、サービス部門の千三百社から激しい抵抗を受けた。増税にへきえきとしていた下院議長は、反対運動の旗手に立って財務相に掛け合い、廃案交渉に挑んだ。交渉の結果、同暫定令による増税はわずかなものになったことを同議長が明らかにした。
サービス部門は収入総額から給与総額と使用者の厚生福利負担金、勤務年限退職積み立て金(FGTS)を収入の二〇%を限度として差し引き、課税対象から外せることになった。新たな暫定令はメルス下議(労働者党=PT)が、草案を書き上程する予定となっている。
昼食会は下院議長公邸で、財務相を始め国税庁のラシジ長官、ドルネレス下議(進歩党=PP)、上程者のメルス下議、下院第二書記のノゲイラ下議、下院事務局長のパイヴァ下議などが招かれ、暫定令二三二号の修正と調整が話し合われた。
下院議長は就任早々の二月十五日、暫定令二三二号の阻止で国民の代弁者を自認していた。原案通りでは、議会で決して可決させないと誓った。財務省で同令を作成したスタッフは、隠された目的は脱税阻止と所得の不均衡是正だと弁解したが、議長の耳には聞こえなかったようだ。
昼食前の食前酒で議長は、交渉を円滑にするため財務相と音合わせを行った。前向きに解決策を模索するとし、所得税減税が原案通りに通過すれば、財政政策の算段は一歩前進であるとした。議長は増税を盛り込んだ暫定令を人類滅亡の前奏曲と呼んだ。
昼食会の談話は、議長のペースで進んだ。議論は政治談義であり、目的は増税抜きの経済成長とした。下院議長は議員室経費の増額を表決抜きの執行部裁量で決定したことから、財務省と白けた関係の修復を配慮していた。
十七日は早朝から記者団が議長公邸に詰め掛け、質問攻めにあった。議長が議員室経費の二五%アップを決めたことで、下議らがドンチャン騒ぎのお祭り気分にならないかと。過去にはあったが、これからはない、ドンチャン騒ぎをするために新議長が就任したと記者らは誤解していると、たしなめた。
下院経費の増額は、財政責任法へ抵触しないかとの質問があった。財政責任法によって狂人とみなされる者は、議会にいないと議長は答えた。議会では誰も財政責任法によって束縛されないし、本来の義務を遂行するのが国会議員の使命ということらしい。