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サンパウロ市=拘置所で暴動発生=職員2人死亡、2人重体=5人を人質に屋上で気勢あげる

3月19日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八】サンパウロ市ピニェイロス区の州立拘置所で十七日午前一時ごろ、暴動が発生し、職員二人がピストルで撃たれて死亡し、ほかの二人も撃たれて重体となる事態が発生した。このほか職員五人が人質となり、「血祭り」にあげられて暴行を受けたが幸い命に別条はなかった。
 拘置者人らはピストル二丁と手榴弾一個を所持していたほか、ノコギリ状の大口手製ナイフや麻薬、煙草を持っていたことから入手経路が取りざたされている。ナガシ・フルカワ拘置所管理局長は、拘置所職員が拘置者に買収されて調達したものか、家族の面会日に持ち込まれた可能性が高いとした上で、いずれにしても職員の職務怠慢を厳しく追及するとの意向を明らかにした。
 そもそも今回の暴動は、集団脱走を企てたのが失敗に終わったことによるものだった。拘置者らの一人が心臓発作の仮病を訴えて看守に房を開けさせ、入ってきた職員二人にいきなりピストルを発射して死亡させた。残る二人の職員は拘置者らに暴行を受けた後、これもピストルで射たれた。この二人は病院に運ばれたが大量の出血で危険な状態だという。
 拘置者らは他の房を開けて拘置者を解放するとともに、正面入口から脱走すべく広場に集結した。しかし騒ぎを知った警備隊が一斉に射撃を開始したため、拘置所内に戻った。その折、職員五人を人質として屋上に立てこもった。屋上ではマットに火をつけるなどして気勢をあげ、人質の首にナイフを突きつけたり、突き落すそぶりを見せた。報道陣の撮影したテレビ映像では、拘置者らが麻薬やタバコを吸ったり、携帯電話で話すという、拘置所内と思えないような信じられない光景が展開された。
 警察の調べによると、首謀者は犯罪史上まれに見る大泥棒といわれ、高級マンションを次々と襲って逮捕された通称ETで、脱獄の名人とも言われ、過去に四度の脱走に成功している。今回の五度目は失敗に終わった。機動隊の出動で、暴動は午後三時過ぎに制圧された。その際の条件として拘置者らは、何故か武器を放棄する模様をヘリコプターから撮影することを要求したという。
 フルカワ長官によると、拘置所の暴動は今年に入って始めてのことで、また職員の犠牲は五年ぶりとのこと。暴動を起こした拘置者らはそれぞれ、警備の固い拘置所に移された。