3月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】国内消費や輸出が思うように伸びず低迷が続いている養豚・豚肉加工業界が、一丸となって打開策を講じることになった。輸出の第一目標として、日本市場への参画を挙げている。日本は世界の総生産の三二%を購入しているが、ブラジルはこれまで一キロたりとも輸出実績がない。これを踏まえて業界では、日本からミッションを招へいし、足がかりとしたい意向を示している。また国内消費も世界平均より少ないことからキャンペーンを展開していくことを取り決めた。
日本は全世界の豚肉生産量の三二%を輸入しており、その規模は二十億ドルに達する。その輸入先のほとんどが二国間協定によるヨーロッパ諸国となっている。これを指をくわえて見ていることはないと業界は発奮し、今年の市場開拓の第一目標として掲げた。
その第一歩として日本から業界ミッションを招へいし、実際に飼育場や衛生管理、検疫状況を視察して貰い、実情を把握してほしいとしている。その際、ブラジルでは飼料となる穀類が豊富であること、上質な水や好天などの自然環境が飼育に適していること、手間賃が安いことなどの利点を強調したい意向だ。これを足がかりとして日本市場に参入したいと熱望している。
ブラジルでは牛肉は世界一の輸出量で、鶏肉は生産で世界三位、輸出は二位と華々しい立場にあるにもかかわらず、豚肉は生産の二〇%しか輸出されていない。生産量は世界四位の二百六十七万トンとなっているが、ダントツの中国の四千四百九十万トンの足許にも及ばない。二位はヨーロッパの一千八百万トン、三位はアメリカの九百万トンとなっている。
豚肉の輸出先はロシアが圧倒的に多く、五六・七五%を占めている。昨年九月に狂牛病の発生により肉類が輸入禁止となったが、解禁されたため今年の伸長が期待されている。しかしいっぽうで、南ア、シンガポール、ベルギー、ウクライナの新勢力の台頭で、他国への輸出の先細りが懸念されている。
一方で国内消費も伸び悩んでいる。国内の一人当たりの年間消費は十二キロで、世界平均の十五キロを下回っている。世界で最も多いのはスペインで六十六キロ、次いでデンマークの六十四・二キロとなっている。ラテン・アメリカ圏内ではチリの十六・五キロが最低でブラジルと競争している。ブラジル人は、豚肉は脂肪が多すぎるとの先入観が強く、このため業界では栄養価を強調したキャンペーンを繰り広げる。
国内業者ではサジアがトップで、国内シェアの一〇・二%、輸出は二二・八%を占めている。このほかペルジゴン、セアラ、アヴィパルなどが挙げられる。