3月18日(金)
ブラジルで、高齢者福祉の仕事がしたい──。日本との賃金格差などから、ブラジルでは介護ヘルパーの資格を所持していても、仕事やボランティアに生かす人は多くない。ヘルパー二級の資格を持つ、上村純子さん(東京都出身)が、福祉事業に携わりたいと、昨年七月末から滞在。ボランティアで在宅介護支援を志願していた。希望者が現われなかったことから、今後、グアララペス市の孤児院に移り、ボランティア活動の場を探す。
上村さんは高校卒業後、ビジネス学校に進学。アメリカに短期留学をしたのがきっかけで、日本で労働してはその収入で海外旅行に出掛けるようになった。これまで米、欧州など十カ国を回り、ブラジルが十一カ国目になる。
「旅行するだけでは、その国の習慣や文化を深く理解することは出来ない」と思った上村さん。十カ国目の英国から、長期滞在に切り替えたという。
同国で聖書を研究。福祉に携わっているクリスチャンが多いことに刺激を受けて、〇一年にヘルパーの資格を取得した。その後四年間、週に六日、一日に三軒を巡回して場数を踏んだ。
日系コロニアで高齢者福祉の需要が大きいと、知人などからブラジル行きを勧められた。
予想外のことが、起きた。「ボランティアで、在宅介護をします」。要介護者を抱える家庭なら、すぐ飛びつきそうなビラを日系商店に張った。だが、希望者が一人も現われなかったという。
「ブラジルには、高齢者福祉の仕事がたくさんあると思っていたけど……」と肩透かしを食らった形になってしまった。近々、グアララペスで孤児院の経営に携わっている知人を頼るつもり。
「近くのアラサツーバに日系人がたくさん居住していると聞いています。私の技術が役に立つ場があればうれしい」と話している。