3月17日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事が州議会議長に推薦したエジソン・アパレシード州議(ブラジル社会民主党=PSDB)は十五日、議長選出の表決で対抗馬のロドリゴ・ガルシア州議(自由戦線党=PFL)に二票差で敗れた。これでサンパウロ州政府は連邦政府の下院議長選、サンパウロ市の市議会議長選と同じ轍を踏んだ。ガルシア州議会の当選は、下院議長選で惜敗した政府与党の報復措置とみられている。
今回はアウキミンサンパウロ州知事が、苦杯を飲むことになった。同知事推薦のアパレシード州議の議長当選は、表決寸前まで確実視されていた。対抗馬のガルシア州議はカサブサンパウロ市副市長の腹心であり、造反を企てるとは想像しなかった。サンパウロ州政府内にはPFL所属の高官も多数いる。表決の結果四十八票対四十六票、わずか二票差だった。
ガルシア州議は、選挙運動で州知事との摩擦を極力避けた。しかしPSDBにとっては、九四年以来連立関係にあり副知事と副市長を迎え入れたPFLの裏切り行為に変わりはない。一方、労働者党(PT)は笑いが止まらない。州議会へPTから第一書記を送り込む筈だ。
州議会の廊下ではPT所属州議の戦勝祝いパレードが行われ、仇討ちの美酒に酔うた。陰の策士とされるジルセウ官房長官からPTサンパウロ州支部へ祝電が届いた。議長表決の直前、サンパウロ州知事が最後の確認の電話を入れなかったのが、ツメの甘さと嘲笑されている。
議長選の直後、PSDBサンパウロ州幹部会議が開かれた。PSDBは、州議会執行部に州議を送らず、徹底抗戦の方針を貫く決議を行った。一カ月前は誰からも相手にされなかったガルシア議長の誕生は、十二日にアチバイア市のカントリークラブに招かれた州議二十人の寝返りによるとみている。
当のガルシア新議長は当選をきっかけに、州政府内のPFL関係者を増員し、PFLの価値を高めるという。今日笑う者は明日バンデイランテス宮の主人公となり、今日の主人公は明日お茶汲みになると豪語した。
ガルシア新議長は三十一歳で本職は不動産業。カサブ副市長(PFL)が不正資産の蓄積疑惑で窮地に陥っていたとき、背後で疑惑もみ消しのため奔走した。PSDBが助けの手を差し伸べなかった恨みが、あるようだ。
サンパウロ州議会議長選出劇のシナリオを書いたのは、ジルセウ官房長官という噂だ。PFLとPTの共同戦線は、木に竹を継ぐ関係だった。PTサンパウロ州支部は楽観派と慎重派で二分している。政界はもはや何でもありで、一寸先闇の状態にある。近く行われる政治改革で、政党政治の在り方にタガをはめるらしい。
連邦政府や州政府、市が自党議員を議会議長に据える伝統は終焉し、新しいモデルの議会運営が始まったようだ。選出された新議長三人は連立党のメンバーではあるが異口同音に、自分の勝利と与党の敗北をゴチャ混ぜにしないよう要求した。立法府の議長選出劇は、PTの敗北でもPSDBの敗北でもなく、政党政治の崩壊であり政治の敗北といえそうだ。