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南伯の干ばつ対策発表=40年来の大日照り=保険金給付、決済延期など=かんがい用水確保が課題

3月12日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】過去四十年間で最悪という南部地域の干ばつで被害を受けた小農業生産者救済のため、連邦政府は十日、農業保険金二億五千万レアルの給付を決めた。その他、保険を掛けなかった農業生産者は、農業融資の決済期限を延期するなどの便宜を図る予定。異常気象の影響で干ばつが南部を襲うようになり、かんがい用水の確保が農業生産の課題となっている。干ばつ区域は、さらにパラナ州の八十七郡、ミナス・ジェライス州の八十五郡、サンパウロ州南部へと広がっている。
 ルーラ大統領は十五日、南部の干ばつ被災地を視察し、小農業生産者の救済策を発表する。世界的な気候変動の影響が、ブラジルにも上陸しつつあるようだ。農業保険を掛けていなかった生産者への農業融資の決済期限延期や、二〇〇五年満期の債務決済を契約の最終期限へ繰り延べることを認めるなど、決済期限が延期される農業融資の総額は、五千万レアルに上ると予測される。
 大統領は、冬季作物の植え付け奨励のために政府が営農資金を用意していることも発表する。二億五千万レアルの保険金支払いは、小農業生産者の離農を防ぐための重要な対策で、この資金は農業生産者が次期収穫まで命をつなぐ救援物資とされる。
 二億五千万レアルは、農業融資の二%で設立した救済基金と国庫庁から支払われる。保険金の支払いは、収穫が始まる五月下旬に行われる。大統領は、資金不足による同支払いの延期はないと確約した。
 農業保険が支払われれば、生産者は銀行債務を決済できる。そして、政府の家族農業奨励(PRONAF)プログラムの恩典を享受する資格を得られる。干ばつ被災地のリオ・グランデ・ド・スル州では、二十三万八千件の保険契約書が交わされている。
 干ばつが長期にわたるものであれば、契約者は急増すると思われる。連邦政府の計算では、同州生産者十二万世帯の収穫がほぼ半減したという。PRONAFでは、農業融資金の二%を農業保険へ掛けることになっている。
 他に地主から農業融資を受けた者や、仲介業者、多国籍食糧メジャーから融資を受けたケースなどもある。干ばつで作物が全滅したときは予想収穫の六五%、金額にして一千八百レアルまでを農業保険が補償する。生産者は干ばつによる被害が、三〇%以下に収まらないと持ち出しになる。
 農務省の計算では、南部だけでも九十万七千世帯の農業生産者が、農業保険の支払いを受けても農業融資を決済できない。地主や多国籍メジャーの融資を受けた場合、さらに苛酷な条件が待っている。
 干ばつは、さらに広範囲に及んでいる。ミナス州では干ばつが八十五郡に達し、四十五郡が対策を講じた。パラナ州西部と南西部は、四十日も降雨がない。寒冷前線は来るが、降雨は極少量。同地域都市部の住民は飲料水不足で悩んでいる。サンパウロ州地方部のパラナ州に接する地域では、トウモロコシや大豆など農作物が七〇%近い減収となっている。