健康広場
3月9日(水)
「最近、料理の味がわかりにくい」「濃い目の味付けが好きになったと他人に言われる」――。こうした症状に覚えがある方は、味覚障害の疑いがある。この病気は、六十歳代をピークに発症し、高齢者に多いのが特徴だ。原因は様々だが、生活習慣も遠因となる恐れがある。
【症状】
口の中が常に苦く感じたり、逆に甘いものを食べた時に辛さを感じたりするようなら要注意だ。また特徴的な症状としてアルミホイルを噛んでいるような味がするのも味覚障害の特徴となる。患者のうち、70~80%の患者が「何を食べてもイマイチ味が分かりにくい」と訴えるという。
また、一つだけの症状に限らず、人によっては複合した自覚症状を覚えることもある。
【原因】
味覚を感じるはずの味蕾(みらい)で受けた刺激が味覚神経を経由して脳に伝達。「甘い」「辛い」「酸っぱい」などの味覚として発生する。こうした味覚細胞や神経のどこかで異常をきたすことで生じるのが味覚障害で、異常をきたす場所によって障害の発生も異なる。
その原因は実に多岐にわたるのが実情だ。糖尿病や肝硬変、腎不全、鬱病などの疾患が引き金となることもしばしばある。
ただ、高齢者の場合亜鉛が不足している例が全体の60%ぐらいとみられる。味蕾は味覚細胞が集合して出来ているが、味覚細胞は新陳代謝が激しくおよそ三十日で新しいものと入れ替わる。このときに亜鉛が不可欠なのだ。このため日常生活で亜鉛が不足していると、味覚障害に陥りやすい。
さらに高齢者の場合は、加齢に伴い味覚細胞そのものが減少している上、神経の機能も低下しがちという背景も関係する。
さらに降圧剤や精神安定薬、心臓病の薬など、体内で亜鉛の摂取を妨げる役割を持つ薬の副作用によることもあるのでいずれの場合も専門医で早急に原因を突き止めることが欠かせない。
【生活習慣への助言】
家族と一緒に住んでいる場合「最近、濃い目の味付けが好きなんじゃない」などと身近に気づいてくれる人がいるが、一人暮らしの人は特に要注意が必要だ。
高齢者の場合は、栄養が偏った食事は特に禁物だ。また過度の加工食品、インスタント食品も使われている添加物に味覚障害を起こしやすい成分が含まれているので、過度の摂取は控えたい。
アルコールの過剰摂取も亜鉛を消費するだけでなく、さらなる減少を招く。
亜鉛は一日に約15ミリグラムが不可欠で、薬剤などで取りすぎるのもダメ。上限は30ミリグラムだ。亜鉛を多く含む食品を表で紹介したので、ぜひ日々の食事に取り入れて欲しい。緑茶や抹茶、ごま、魚介類などいわゆる日本食が最適となる。
【早期発見には】
治療を早く開始すればするほど、治りやすい味覚障害。まず、症状に思い当たればすぐに専門医で検査を受けること。耳鼻咽喉科に行けば簡単に判断してくれる。