3月8日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】イラクで誘拐され安否が気遣われているブラジル人技師ジョゼ・ジョゼー・ヴァスコンセロスさんがすでに殺害されているとのニュースが流れ、外務省や家族、関係者はあわただしい動きを見せている。
ニュースを流したのはイタリアの報道機関だが、情報源は明らかにされていない。外務省はただちに対策本部が置かれているヨルダンのブラジル大使館にイラク当局との連絡を指示したが、真偽の確認は取れていない。また家族は元大統領で現在イタリア大使を務めるイタマル・フランコ氏に報道機関の調査を依頼したが、同国の国家情報を通じた調査でも確証を得られなかった。
ブラジル人技師は一月十九日、ブラジル建設業者が請負った工事に勤務するためイラクのベイジ市(首都バグダットから百八十キロ北部)に着任したところで誘拐された。その際車に同乗していたイギリス人の護衛とイラク人運転手が射殺された。
その後外務省や家族の呼びかけ、またサッカーのロナウド選手もテレビを通じて解決を呼びかけるのに一役買ったが、功を奏さなかった。犯人側は何ら要求をしないどころか沈黙を守ってきており、誘拐の直後に技師の身分証明書とレアル紙幣をテレビで公開したにとどまっている。
外務省に近い筋によると、未確認情報だとしながらも、殺害のニュースは先に監禁から解放されたイタリア人女性ジャーナリスト(解放直後、帰国のため飛行場に向かう途中でアメリカ兵に誤射され重症を負い、護衛官が死亡して国際問題に発展している)がもたらした情報だという。それによると、ブラジル人技師は連れ去られる時に銃弾を受けて負傷し、その傷が悪化して死亡した。女性ジャーナリストは監禁中にその話を聞いたという。
いっぽうでアモリン外相は訪問中のアフリカ諸国でニュースを聞き、イラク近隣の大使館や関係者に総力をあげて情報収集と緊急対策を講じるよう指示した。さらにこれまで誘拐された経歴のある各国情報機関の協力を仰ぐことも指示した同外相は、これまでに幾多となく死亡の情報があったが確証に至っていないとし、「生存していることに望みをつなぐ」との心境を述べた。